認知症患者は早死リスクが高いことが知られているが、認知症のタイプごとに死亡率を特定できれば、予防・介入法の開発に役立てられる可能性がある。認知症患者と非認知症者を比較した既報のシステマチックレビューとメタ解析から、アルツハイマー病(AD)に対する非AD型認知症の全死亡リスクは1.3倍超に上ることが示された。台湾・National Defense Medical CenterのChih-Sung Liang氏らがLancet Health Longev2021; 2: E479-E488)に発表した。

認知症のタイプ別に全死亡・生存期間を特定

 Liang氏らは、2020年7月11日までに発表された、認知症患者と非認知症者で死亡・生存転帰を検討した横断研究またはコホート研究をMEDLINE、PubMed、Embase、Cochrane Libraryから抽出し、システマチックレビューおよび変量効果モデルを用いたメタ解析を行った。単群研究、特定集団が対象の剖検研究・家族研究などは除外。非AD型認知症は、前頭側頭葉変性症、レビー小体型認知症、血管性認知症に分類した。

 主要評価項目は、全死亡のハザード比(HR)および認知症診断後の生存期間の平均差(MD)とし、副次評価項目は、死亡年齢および認知症発症後の生存期間とした。

 医学電子データベースから1万1,973件の文献を特定し、基準に合致した78件における認知症患者6万3,125例と非認知症の対照群15万2,353例を解析対象とした。

診断後の生存期間短縮および若年死にも関連

 非認知症者に対する全死亡のHRは、認知症患者全体が5.90(95%CI 3.53~9.86、I2=94.40%)で、タイプ別ではレビー小体型認知症が最も高く(HR 17.88、95%CI 5.87~54.46、I2=73.61%)、次いで前頭側頭葉変性症(同15.26、4.34~53.69、I2=50.76%)、血管性認知症(同5.03、1.63~15.51、I2=93.03%)、AD(同3.70、1.99~6.88、I2=93.82%)の順であった。

 非AD型認知症は、3タイプともADと比べ全死亡リスクが高く、診断後の生存期間が短く、若年死と関連していた。ADに対する全死亡のHRは、非AD型全体では、1.33(95%CI 1.21~1.46、I2=69.95%、)、診断後生存期間のMDは -1.12 年(95%CI -1.52~-0.72年、I2=97.87%)、若年死のMDは -1.76年(同-2.67~-0.85年、I2=81.14%)と、いずれもADより不良であった。

図. 主要評価項目:全死亡のHR

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Lancet Health Longev 2021; 2: E479-E488

 非AD型認知症発症後の生存期間は、いずれのタイプもADと比べて短かった。ただし、サブグループ解析で有意差が維持されたのは、血管性認知症(MD -1.27年、95%CI -1.90~-0.65年、I2=52.09%)とレビー小体型認知症(同-1.06年、-1.68~-0.44年、I2=0%)のみであった。発症および診断時の年齢と生存転帰の間には、有意な相互作用が認められた。

 ADは最も患者数が多い認知症で世界的に主要な死因の1つとなっているが、今回の研究結果は、ADと比べて非AD型認知症で死亡率および余命短縮と関連が強いことが示唆された。Liang氏らは「医療提供者、患者、家族にとって、認知症のタイプごとに個別化した治療法とリハビリテーションプログラムを確立することが重要である」と指摘している。

(小路浩史)