厚生労働省は7月27日、アストラゼネカ(AZ)の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン(商品名バキスゼブリア筋注)の使用上の注意として、接種不適当者や副反応を追加した添付文書を速やかに改訂するよう指示した。公的予防接種に同ワクチンを加えることが決まり今後、改訂内容が周知徹底される。(関連記事「AZワクチン、まず日本での活用が不可欠」)

毛細血管濾漏出症候群の既往者は接種不適当

 AZワクチンは、18歳以上を対象に今年(2021年)5月に承認されていた。しかしワクチン接種後、ごくまれに血栓例が報告されたことから、公的接種での使用は保留となっていた。本日(7月30日)、厚労省による厚生科学審議会の分科会は、AZワクチンの公的接種対象について「原則40歳以上」とする案を了承したという。

 今回、厚労省が指示したAZワクチンにおける添付文書の改訂は、①接種不適当者②重要な基本的注意③その他の副反応④その他の注意(臨床使用に基づく情報)―の4カ所。

 ①接種不適当者は「毛細血管濾漏出症候群の既往歴のある者」とされた。毛細血管濾漏出症候群は、毛細血管から液体などが漏れ出して周辺組織に侵入し、血液濃縮と血液量減少性ショックなどを来す。6月に欧州医薬品庁(EMA)は、AZワクチンの副反応として毛細血管濾漏出症候群を追加した。

 なお毛細血管濾漏出症候群は、AZワクチンとの関連性は確立されていないものの、極めてまれながら報告されている。

疑わしい症状あれば直ちに医師へ、事前に説明

 ②重要な基本的注意として、接種後に血小板減少が認められた者には血栓症の徴候を精査し、血栓症を発現した者には血小板を評価するとした。さらに前述の毛細血管濾漏出症候群について、手足の浮腫や低血圧などの疑わしい症状があれば直ちに医師に相談するよう、事前に説明する。

 また毛細血管濾漏出症候群と同様に、AZワクチンとの関連性は確立されていないが、ギラン・バレー症候群が報告されている。そのため、四肢遠位から始まる弛緩性麻痺、腱反射の減弱または消失といったギラン・バレー症候群が疑われる症状が認められた場合は、直ちに医師に相談するようあらかじめ説明するとした。

 ③その他の副反応に加えられたのは、血小板減少症である。AZワクチン接種後の血小板減少症は、ヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia:HIT)の病態との類似が報告されている(N Engl J Med 2021; 384: 2124-2130)。

  ④その他の注意(臨床使用に基づく情報)について、極めてまれではあるが前述の毛細血管濾漏出症候群の海外報告例を挙げ、中には毛細血管濾漏出症候群の既往例、致死的な症例が含まれていたとして、注意を喚起した。

(田上玲子)