【バンコク時事】ミャンマーで新型コロナウイルスの感染が急速に拡大している。クーデターで国軍が実権を握ってから8月1日で半年。混乱の中で医療体制は崩壊状態に陥っており、人権団体は「危機の責任は軍事政権にある。さらに多くの命を失う前に民政に戻すべきだ」と訴えている。
 5月末時点で1日100人程度だった新規感染者は6月下旬から急増し、7月後半は5000人前後の日が続いた。死者も7月に入って増え始め、累計で約9000人に達している。国軍は感染を抑えようと7月17~25日を休日にしたが、それでも収まらず、8月1日まで延長した。
 医療機関が機能していないため、市民は自宅療養用に酸素を買い求めている。しかし、供給不足で工場の前では市民がボンベを手に長蛇の列をつくっている。酸素濃縮機も売り切れ状態だ。PCR検査の態勢は整っておらず、簡易検査キットを使用する人も多い。
 人権団体のフォーティファイ・ライツは「国軍は医療従事者の逮捕・殺害や医療機器・施設の破壊で医療体制を混乱させた」と非難。国際社会にミャンマーへの人道支援やワクチン集団接種の実施に向け、連携するよう呼び掛けた。
 最大都市ヤンゴンのインセイン刑務所では7月23日、収監者が感染症対策の徹底を求める異例の抗議行動を展開した。所内では感染者が相次いでいると伝えられ、人権団体の政治犯支援協会によると、抗議には刑務所職員も加わった。
 欧米諸国の駐ミャンマー大使は連名で「適切な医療を受ける収監者の基本的権利を尊重すべきだ」と当局に促す声明を発表。国営紙によると、インセイン刑務所で28日、収監者へのワクチン接種が急きょ始まり、初日は610人が受けた。当局者は「接種は予防措置。所内で感染は広がっていない」と主張する。
 在ミャンマー日本大使館は7月中旬以降、「医療体制は逼迫(ひっぱく)している」として、在留邦人に一時帰国の検討を呼び掛けている。 (C)時事通信社