新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症(Long COVID)は、呼吸器だけでなく筋骨格、心血管、消化器など全身のさまざまな臓器に生じるとされるが、診断法は確立されていない。トルコ・Necmettin Erbakan University Meram Medical Faculty HospitalのGulfidan Bitirgen氏は、Long COVID患者で認められる神経症状と角膜神経形態の関係を検討。両者には有意な関連が認められ、角膜神経の変化の観察がLong COVIDの特定につながる可能性があると、Br J of Ophthalmol2021年7月26日オンライン版)で報告した(関連記事:「コロナ後遺症、多臓器で症状持続」)。

Long COVID患者40例を検証

 COVID-19の主な症状として、急性の呼吸器障害だけでなく味覚や嗅覚の喪失、頭痛、めまい、痺れ、神経因性疼痛といった神経症状が報告されているが、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染が神経に影響を及ぼす機序は明らかになっていない。そこでBitirgen氏は、COVID-19発症から1〜6カ月以内のLong COVID患者40例および健康人(対照)30例の角膜神経形態と樹状細胞(DC)密度を定量化し、Long COVID患者における神経症状との関係を検討した。

 同氏は全例を対象に、英国立臨床評価研究所(NICE)などが作成したLong COVIDガイドラインに基づく質問票、Douler Neuropathique 4(DN4)、Fibromyalgia Questionnaire(FM-Q)を用い、Long COVIDの症状をスコア化。さらに角膜共焦点顕微鏡(CCM)検査を実施し、角膜神経線維密度(CNFD)、角膜神経分岐密度(CNBD)、角膜神経線維長(CNFL)の各パラメータを用いて角膜神経形態を定量化した。

角膜神経の各パラメータに変化

 検討の結果、神経症状はCOVID-19発症後4週で55%、12週で45%に認められた。対照群とCOVID-19発症後4週で神経症状が認められた群(神経症状群)の角膜神経形態を比較すると、神経症状群でCNFD、CNBD、CNFLがいずれも有意に低下し(順にP=0.032、P=0.020、P=0.046)、DC密度が有意に上昇していた(P=0.046)。一方、COVID-19発症後4週で神経症状が認められなかった群(非神経症状群)では、対照群と比べ角膜神経形態の各パラメータは同等だったが、DC密度は上昇に増加していた(P=0.003、)。

図. 健康人とLong COVID患者における角膜神経形態パラメータとDC密度

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Br J Ophthalmol 2021年7月26日オンライン版)

 なお、CNFDおよびCNFLは4、12週時においてNICEのLong COVIDスコアおよび神経学的スコア、FM-Qスコアといずれも有意な逆相関を示した。他方、CNBDはDN4スコア、C反応性蛋白(CRP)、総DC密度、成熟DC密度、未成熟DC密度といずれも有意に逆相関していた。

 以上の結果について、Bitirgen氏は「CCM検査により、神経症状を有するLong COVID患者において角膜神経線維の減少とDC密度の上昇が確認できた」と結論。「Long COVID患者の客観的な特定に当たり、CCM検査は有用な可能性がある」と指摘している。

(平山茂樹)