従来の抗精神病薬とは異なりドパミンD2受容体には作用せず、セロトニン5-HT2A受容体に対するインバースアゴニスト(逆アゴニスト)作用およびアンタゴニスト(拮抗作用)を有するpimavanserinが、幻覚や妄想といった症状を呈する認知症関連精神疾患の再発リスクを低下させることが示された。米・University of Arizona College of MedicineのPierre N. Tariot氏らが、第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照ランダム化治療中止試験HARMONYの結果をN Engl J Med2021; 385: 309-319)に発表した。なお、同試験は中間解析で有効性が確認され早期中止となった。

中止例に比べ継続例で再発リスク低下

 同試験の対象は、アルツハイマー病(66.3%)、パーキンソン病に伴う認知症(15.1%)、血管性認知症(9.7%)、レビー小体型認知症(7.1%)、前頭側頭葉型認知症(1.8%)に関連する精神疾患患者392例(平均年齢74.5歳、女性58.4%)。まず12週間の非盲検期間にpimavanserinを1日1回34mg経口投与した。

 次に、8週および12週の時点で統合失調症における陽性症状評価尺度の幻覚および妄想の項目(SAPS-H+D)1を評価するスコアがベースラインから30%以上低下、および臨床全般印象改善評価尺度(CGI-I)2のスコア1/2(著明に改善または改善)を達成した患者217例を二重盲検期間に移行。pimavanserin継続群(105例)とプラセボ群(112例)に1:1でランダムに割り付けて最長で26週間投与した。

 主要評価項目は認知症関連精神疾患の再発とし、①SAPS-H+Dスコアの30%以上上昇およびCGI-Iスコア6/7(悪化または著明に悪化)②認知症関連精神疾患による入院③有効性の欠如を理由とする投与中止④他の抗精神病薬の使用-のいずれかに合致する場合と定義した。

 中間解析の時点で、主要評価項目の発生率はプラセボ群の28%に対しpimavanserin群では13%と有意に低かった〔ハザード比(HR)0.35、95%CI 0.17~0.73、P=0.005〕。P値が事前に設定した閾値0.0066を下回ったため、試験は早期中止となった。

 副次評価項目とした、なんらかの理由による投与中止率もプラセボ群の38%に対しpimavanserin群では22%と有意に低かった(HR 0.45、95%CI 0.26~0.79、P=0.005)。

重篤な有害事象はプラセボと差なし

 二重盲検期間における有害事象の発現率はpimavanserin群が41.0%、プラセボ群が36.6%だった。重篤な有害事象(pimavanserin群4.8% vs. プラセボ群3.6%)、投与中止に至る有害事象(同2.9% vs. 3.6%)の発現率は両群でほぼ同等だった。

 全期間においてpimavanserin群で発現率が高かった有害事象は尿路感染症(6.4%)、頭痛(4.1%)、便秘(3.1%)だった。また、無症候性QT延長が1.3%に見られた。

 以上の結果を踏まえ、Tariot氏らは「pimavanserinが奏効した認知症関連精神疾患の患者では、再発リスクは同薬の中止例に比べて継続例で低かった。今回の試験は早期中止となっており、認知症関連精神疾患に対するpimavanserinの有効性を検証するには期間と規模を拡大した試験が必要」と結論している。

※1Scale for the Assessment of Positive Symptoms-Hallucinations and Delusions:スコア範囲0~100、高スコアほど重症

※2Clinical Global Impression-Improvement:スコア範囲1(著明に改善)~7(著明に悪化)

太田敦子