新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに導入が広がったテレワークについて、民間企業が拡充に向け試行錯誤を続けている。トヨタ自動車は遠隔地勤務を後押しする新制度を設け、テレワークの定着を目指す。一方、社員間の連携などの面から「オフィス回帰」の動きもあり、多様な働き方をめぐる模索が続く。
 トヨタは今月、テレワークをする社員の増加を受けて勤務制度を改定。適用を認められ、国内の遠隔地に住んでテレワークをする従業員が、必要に応じて出社する場合、交通費を全額支給する。遠隔地勤務の負担を軽減し、仕事と介護、育児を両立しやすくした。三菱電機は5月から、通勤圏外からテレワークで勤務できる制度を試験的に運用しており、2022年度の本格実施を目指す。
 コロナ禍が長期化する中、在宅勤務などを活用した働き方は大手企業の事務系職場を中心に浸透。三菱重工業は東京本社の出社率の目安を3割にした。楽天グループは在宅勤務を原則とし、出社が必要な部署でも原則週3日までとしている。
 一方、日本生産性本部の意識調査では、テレワークの課題として「成果が評価されるか不安」「孤独感や疎外感」などが挙げられた。また「テレワーク疲れ」のために出勤日数の増加も見られるという。新制度を導入したトヨタも、「制度を活用する人数や効果などは、やってみないと分からない」(関係者)としている。
 緊急事態宣言の発令や、コロナ感染拡大の動向に応じて、テレワーク活用の度合いを調整する企業は多い。「本来は育児や介護などコロナ以外の理由でもテレワークの普及が必要だが、なかなか進まないのが実情」(自動車メーカー幹部)との指摘もある。コロナ収束後も企業のテレワーク推進姿勢が続くかどうかは見通せない。 (C)時事通信社