近年、開放隅角緑内障においては、低侵襲緑内障手術(MIGS)が発達している。米・University of MichiganのAmanda K. Bicket氏らは、MIGSの有効性と安全性を検討するため、コクランレビューで評価された開放隅角緑内障に対するMIGSのランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を行った。その結果、緑内障患者に一部のMIGSを白内障手術と併用することは、白内障手術のみを実施する場合に比べて、術後に眼圧降下薬の点眼なしで疾患をコントロールする可能性を向上させたとJAMA Ophthalmol2021; e212351)に発表した。

MIGSと白内障手術のみ、その他のMIGSなどを比較したRCTを抽出

 緑内障の患者は世界で7,500万人以上いるとされる。眼圧を下げる手術がこの疾患の主な治療法であるが、手術による侵襲を軽減するため、近年ではMIGSが導入されている。

 Bicket氏らはMIGSの有効性と安全性を検討するため、一連のコクランレビューで評価された、開放隅角緑内障に対する同術式に関するRCTのデータをまとめた。

 データは、2021年6月1日以前に発表された研究のCochrane Database of Systematic Reviewsで、MIGSと白内障手術のみ、その他のMIGS、従来の緑内障手術、レーザートラベクロプラスティ、内科的治療を比較したRCTが含まれる。

 Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-analysesのガイドラインに従い、1人の研究者が抽出し、もう1人の研究者が確認した。AMSTAR 2評価ツールを用い、ランダム効果ネットワークメタ解析を行った。

 主要評価項目は、術後に眼圧降下薬の使用を必要としなかった患者の割合(眼圧降下薬不要率)とし、短期(6ヵ月未満)、中期(6~18ヵ月)、長期(18ヵ月以上)で追跡調査を行い分析した。

眼圧降下薬不要率がHydrus併用で1.6倍、iStent併用で1.4倍改善に

 その結果、iStentまたはHydrusマイクロステントを用いたバイパス術、Trabectomeを用いた線維柱帯切開術ab interno法、結膜下および毛様体上ドレナージデバイス、および内視鏡的サイクロフォトコアグレーションについて、6つの適格なコクランレビューが確認された。

 眼圧降下薬不要率は白内障手術のみの場合と比較して、Hydrusを併用することにより、中期〔1,000人中804人 vs. 1,000人中502人、相対リスク(RR)1.6、95%CI 1.4~1.8〕および長期(RR 1.6、95%CI 1.4~1.9)の追跡調査において高かった。また、長期において、眼圧を2.0mmHg(95%CI -2.7~-1.3mmHg)低下させることができた。

 iStentを併用する場合でも、白内障手術のみの場合と比較して、中期の追跡調査において高かったが(1,000人中804人 vs. 1,000人中583人、RR 1.4、95%CI 1.2~1.6)、iStentの短期的な眼圧降下効果は持続しなかった。

 なお各推定値は2つの試験に基づいているが、エビデンスの確実性は、Hydrusの比較では中程度、iStentの比較では非常に低かった。その他の手技では長期追跡のデータが得られなかった。

CyPassマイクロステントの併用にも有効性

 眼圧降下薬不要率はCyPassマイクロステントの併用によっても、白内障手術のみの場合と比較して中期において高かったが(RR 1.3、95%CI 1.1〜1.5)、視野欠損のリスクの増加と関連していた。

 白内障手術を行わずにHydrusとiStentを施術した患者群を直接比較したRCTでは、Hydrus群はiStent群よりも中期の追跡において眼圧降下薬不要率が高かった(Hydrus群 1,000人中466人 vs. iStent群 1,000人中240人、RR 1.9、95%CI 1.2〜3.1)。

 以上から、Bicket氏は「コクランレビューでまとめられたデータに基づくと、HydrusやiStent、CyPassマイクロステントなど一部のMIGSを白内障手術と併用することは、緑内障患者が白内障手術のみを受ける場合に比べて、眼圧降下薬を使用せずに緑内障をコントロールできる可能性の向上に関連することが分かった」と結論。「現在施術できるもののうち、HydrusはiStentに比べると点眼薬なしでの緑内障コントロールと眼圧降下薬の効果が高かったものの、いずれも効果は小さかった」と付言している。

今手麻衣