新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン初回接種時にアレルギー反応が生じた場合、2回目を接種するかは悩ましい。米・Vanderbilt University Medical CenterのMatthew S. Krantz氏らは、多施設の医療データを後ろ向きに解析。その結果、mRNAワクチン初回接種時に重篤なアレルギー反応を示した例でも、2回目の接種では軽度の症状が報告されただけであり、2回目接種の安全性が示唆された、とJAMA Intern Med2021年7月26日オンライン版)に発表した。

ワクチン接種によるアレルギー反応が2%に出現

 SARS-CoV-2のmRNAワクチン接種により2%にアレルギー反応が生じ、アナフィラキシーは接種1万回当たり最大2.5件発生すると推定されている。初回接種時にアレルギー反応が生じた例に対して、2回目の接種を行うか否かは明確にされていない。

 そこでKrantz氏らは、米国の5施設から収集した2021年1月1日~3月31日の医療データを後ろ向きに解析。mRNAワクチン初回接種時に即時型アレルギー反応が出現した例に対する2回目接種の安全性を検討した。

 即時型アレルギー反応は、初回接種後4時間以内になんらかのアレルギー反応が出現した場合とした。アナフィラキシーの判断は、2つの基準(ブライトン分類、NIAID/FAAN)のうち少なくとも1つ以上を満たす場合とした。

 主要評価項目は、2回目接種時の免疫寛容で、①2回目接種後に即時型アレルギー反応が出現しない②出現するが軽度で、自然治癒または抗ヒスタミン薬のみで消失―のいずれかと定義した。

初回接種時のアレルギー反応、最多は顔面紅潮または紅斑

 解析対象は、ファイザー製またはモデルナ製のmRNAワクチン初回接種により即時型アレルギー反応が出現して医療機関を受診した189例(平均年齢43±13歳、男性26例、女性163例)。接種したワクチンは、モデルナ製が130例(69%)、ファイザー製が59例(31%)だった。

 初回接種時に最も多く報告されたアレルギー反応は顔面紅潮または紅斑(53例)で、以下、めまいまたは立ちくらみ(49例)、ひりひり感(46例)、喉の圧迫感(41例)、蕁麻疹(39例)、喘鳴または息切れ(39例)が続いた。アナフィラキシーは32例に発生した。

2回目接種時に全例で免疫寛容が成立

 159例(84%)がmRNAワクチン2回目を接種した。接種前に抗ヒスタミン薬を投与したのは47例だった。

 初回接種時にアナフィラキシーを起こした19例を含む全例(159例)で、2回目接種時に免疫寛容が成立した。

 32例に即時型アレルギー反応が生じたが、いずれも軽度で、自然治癒または抗ヒスタミン薬のみで消失した。

 以上から、Krantz氏らは「ファイザー製またはモデルナ製mRNAワクチンの初回接種時に即時型アレルギー反応を示した患者であっても、2回目の接種における安全性が示唆された。将来的にも、必要に応じてmRNAワクチンの接種が可能であろう」と結論。さらに「米疾病対策センター(CDC)は、ファイザー製またはモデルナ製ワクチンの初回接種により即時型アレルギー反応を示した例に対し、ヤンセン製単回接種ワクチンを推奨している。しかし、今回の研究結果から、ヤンセン製ワクチンを考慮する必要はないかもしれない」と付言している。

(比企野綾子)