新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が2日、埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県に出され、発令中の東京都、沖縄県と合わせ対象は6都府県に広がった。まん延防止等重点措置も5道府県に適用された。感染力が強いインド由来の変異株(デルタ株)が猛威を振るい、政府は対応に苦慮する。夏休み中の都道府県をまたぐ移動自粛の呼び掛けをめぐっては、政府と全国知事会の温度差も浮き彫りとなった。
 菅義偉首相は2日、新型コロナに関する関係閣僚会議で、国民に向け「不要不急の外出、大人数での飲食を控え、感染防止に協力をいただくようお願いする」と重ねて要請した。
 国内の新規感染者は1日まで4日連続で1万人を超え、デルタ株急拡大が深刻だ。大都市以外にも広がり、茨城県が宣言発令を政府に要請する方向で検討を始めた。状況が悪化すれば、首相は早くも宣言再拡大の判断を迫られる可能性がある。
 重点措置の新たな対象は北海道、石川、京都、兵庫、福岡。期限は宣言とともに今月末までとなっている。夏休みシーズンを迎え、感染拡大につながる人の移動をどれだけ抑え込めるかが課題だ。
 全国知事会は1日、お盆の帰省を含めて他の都道府県への移動を原則的に中止・延期とするよう政府が国民に呼び掛ける提言をまとめた。強制力を伴う「ロックダウン(都市封鎖)」を可能にする法制度の検討にも言及した。
 一方、政府は「中止・延期」にまで踏み込んだ強いメッセージを発することに消極的。加藤勝信官房長官は2日、「都道府県を越えた移動はできるだけ避けてほしい。どうしても必要な場合は検査を受け、小規模かつ分散で行ってほしい」と述べるにとどめた。政府高官は「帰省を中止する必要性はない」と明言し、感染対策を徹底するなら容認する姿勢を示した。
 ロックダウンの導入にも後ろ向きだ。経済活動への深刻な打撃は避けたいのが本音。根強い反対論を押し切る形で東京五輪が開かれている中、国民の不満が政府にさらに向く事態も懸念しているとみられる。
 手詰まり感も漂うが、政府は最大の感染対策と位置付けるワクチン接種を引き続き急ぐ方針。65歳以上の高齢者への接種にめどをつけたとし、今後は40、50歳代や若年層に重点を移す。各自治体への9月の配分量を近く示すとしている。ただ、十分な量を供給できるかは依然として不透明だ。 (C)時事通信社