国立がん研究センター予防研究グループは、日本人を対象に体格と肺がん罹患との関連を検討する大規模な多目的コホート研究を実施し、結果をCancer Epidemiol Biomarkers Prev2021年6月25日オンライン版)に発表した。BMI低値例では、喫煙に起因する肺がんリスクの上昇が示唆されたという。

全国9万例以上を追跡

 肺がんは、世界でも罹患率および死亡率が高く、罹患リスクとBMIは逆相関することが知られている。しかし、喫煙あるいは体重変化の残留交絡因子の関与は明らかでなく、これまで日本人を対象に体格と肺がんリスクの関連を調べた大規模な疫学研究もなかった。

 そこで研究グループは、1990年と93年に全国9カ所の保健所が管轄する地域に在住し、がんに罹患していない40~69歳の男女9万2,098例に対してアンケートを実施。2013年まで追跡し(平均追跡期間19.1年)、肺がんの罹患リスクとBMI、体重の変化、身長との関連を検討した。対象を、BMIは19未満、19.0~22.9、23.0~24.9、25.0~26.9、27.0以上の5群に、体重変化はアンケート回答時の体重が20歳時より5kg以上減少、変化なし、増加の3群に分け、BMIでは23.0~24.9の群を、体重変化では変化なしの群を基準として、その後の肺がん罹患リスクを比較した。追跡期間中に肺がんを罹患したのは2,152例で、組織型別(腺がん、扁平上皮癌、小細胞がん、その他)の検討も行った。

男性のBMI低値集団で肺がん罹患リスクが有意に上昇

 多変量解析の結果、男性ではBMIが低い集団で肺がんの罹患リスクが有意に高かった〔23.0~24.9群に対するハザード比(HR):19未満群1.48、95%CI 1.18~1.85、19.0~22.9未満群同1.19、1.05~1.35、P<0.001〕。特に腺がんで関連性が強かったが(図-上)、体重変化との関連は見られなかった。女性では有意差はなかったものの、BMIが低い集団で肺がん罹患リスクが高くなる傾向が見られ、特に扁平上皮がんで顕著だった(図-下)。

 男女とも、体重変化および身長と肺がんの罹患リスクには、確かな関連が見られなかった。

図. 体格と肺がんリスクとの関連

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国立がん研究センター予防研究グループ公式ウェブサイト

 今回の結果を受け、研究グループは日本人においてもBMI低値例では肺がん罹患リスクが上昇する可能性を指摘。また、「喫煙を続けた場合に比べ、禁煙した者では全ての循環器疾患、虚血性心疾患、脳卒中の発症リスク低下との関連が見られた」と述べ、先行研究(Heart 2021年6月2日オンライン版)で示された「禁煙後の体重増加は、禁煙による循環器疾患リスクの低下効果の減弱には関連しないという結果とも一致する」としている。

(須藤陽子)