「自分で自分を褒めたい」「チョー気持ちいい」―。過去の五輪では、厳しい練習を乗り越えて栄光を勝ち取った選手ならではの「名言」が飛び出した。日本勢が史上最多の金メダルを獲得した今回の東京五輪は、新型コロナウイルスまん延下での開催で、識者からは「選手がいろんな方向に配慮してか、当たり障りのない言葉が多い」との声も聞かれた。
 1992年バルセロナ五輪の競泳女子200メートル平泳ぎで、当時日本最年少の14歳で金メダルに輝いた岩崎恭子さんは「今まで生きてきた中で一番幸せ」と語り、話題になった。96年アトランタ五輪の女子マラソンで前回大会の銀メダルに続き銅メダルを獲得した有森裕子さんが発した「自分で自分を褒めたい」は、その年の「新語・流行語大賞」に選ばれた。
 男子競泳の北島康介さんは2004年アテネ五輪で「チョー気持ちいい」、08年北京五輪で「何も言えねえ」と、金メダルだけでなく名ぜりふも連発した。12年ロンドン五輪では個人でのメダルを逃したが、400メートルメドレーリレーで銀メダルに。共に泳いだ松田丈志さんが「康介さんを手ぶらで帰すわけにはいかない」と名言をつないだ。
 今回も流行語大賞に選ばれるような言葉は生まれるのか。コラムニストの石原壮一郎さん(58)は「今は勝っても負けてもSNSでたたかれる。無意識に発言にブレーキをかけているのでは」と分析。名言は率直な感情の発露から紡がれるとし、「もやもやした社会の空気を突き破る、想像を超えた名言が生まれるのを楽しみにしている」と語った。 (C)時事通信社