【パリ時事】新型コロナウイルスの感染が再拡大している欧州で、飲食店や文化施設を利用する際にワクチン接種か検査の陰性結果の証明書を提示するよう義務付ける国が相次いでいる。都市封鎖(ロックダウン)回避に向け、ワクチン接種を促進したい各国政府の思惑が背景にあるが、実質的な接種義務化に反発する一部市民は各地でデモを展開している。
 イタリアでは6日から、飲食店の屋内席や美術館などを利用する場合、接種か陰性結果を証明する「グリーンパス」の提示が必須となる。ドラギ首相は「経済活動を続けるために不可欠だ」と強調。導入に反対する一部野党を「ワクチンを接種しないよう呼び掛けるのは、死ぬように呼び掛けるのと同じだ」と非難した。
 イタリアの1日当たりの新規感染者数は過去1週間平均で約5000人。1000人を切っていた6月下旬に比べ増加している。
 1日当たりの新規感染者数が2万人を超えるフランスでも7月中旬から、映画館などへの入場に当たり、接種や陰性結果を証明する「衛生パス」の提示が義務化された。仏当局は、今月9日から飲食店にも適用を拡大する方針だ。ギリシャやオーストリア、デンマークも、飲食店の屋内席や映画館を利用する際に証明書の提示を義務付けた。
 ただ、市民の間では、ワクチンの安全性に対する不安が根強い。伊政府の決定を受けてローマやミラノなどで7月下旬に抗議デモが起き、伊紙レプブリカによると、参加者は「接種するか、(感染して)治療を受けるかは自由に選びたい」と訴えた。
 フランスでもパス導入に反対するデモが頻発。仏内務省によれば、7月31日には全土で計20万人超が参加する大規模運動に発展し、パリで暴徒化した一部の参加者が警察と衝突した。デモの規模は週を追うごとに拡大している。
 マクロン仏大統領は今月2日、インスタグラムで国民からのワクチンに関する質問を募集。動画で「接種すれば感染リスクを大きく下げることができる」などと回答し、市民の懸念解消に躍起になっている。 (C)時事通信社