若年発症の2型糖尿病患者が増加しているが、これまで青年期から成人期にかけての糖尿病関連合併症の発症についてはほとんど知られていなかった。こうした中、若年発症2型糖尿病患者の治療法を比較検討したTreatment Options for Type 2 Diabetes in Adolescents and Youth(TODAY)の追跡研究TODAY2の結果、若年発症例は成人発症例と比べてより早期に複数の合併症を発症することが明らかになった。詳細はN Engl J Med2021; 385: 416-426)に報告された。

10~17歳の患者500例を15年間追跡

 TODAYでは、2004~11年に米国15施設で若年発症2型糖尿病患者699例を登録。血糖コントロールのための治療法3種類(①メトホルミン単独②メトホルミン+rosiglitazone③メトホルミン+集中的な生活習慣介入)の効果を比較検討した。研究の結果から、併用群で血糖コントロールに優れることに加え、若年発症例は成人発症例に比べて進行が速く、血糖コントロールが困難であることが示された。登録時の年齢は10~17歳、2型糖尿病罹患期間が2年未満で、過体重または肥満だった。

 TODAY2(Ⅰ期・Ⅱ期)では2011年にTODAYの参加者572例(81.8%)を登録。Ⅰ期(2011年3月~14年2月)にはTODAY終了後にメトホルミン単独またはメトホルミン+インスリンによる血糖コントロールを行い、有害事象について記録した。Ⅱ期(2014年3月~20年1月)には518例が観察期間に移行し、年1回施設を訪問してもらい糖尿病関連合併症(心疾患、腎疾患、糖尿病性足病変)および健康イベントについて追跡した。糖尿病網膜症は7年目に1回評価された。TODAY2の平均追跡期間は10.2年だった。

 Ⅱ期終了時(2020年1月)に解析に組み入れられた500例の平均年齢は26.4歳、糖尿病診断からの平均期間は13.3年だった。

3分の1が複数の合併症を発症

 TODAY2研究期間中にHbA1cは経時的に上昇し、HbA1c6.0%未満の割合はベースライン時の75%から15年後の研究終了時には19%に減少し、HbA1c10.0%以下の割合は0%→34%に増加した。

 合併症の累積発症率としては、高血圧はベースライン時の19.2%→研究終了時に67.5%、脂質異常症は20.8%→51.6%、糖尿病腎症は8.0%→54.8%、糖尿病神経障害は1.0%→32.4%に上昇。糖尿病網膜症は2010/11年13.7%→2017/18年51.0%(中等度の非増殖糖尿病網膜症~高リスク増殖糖尿病網膜症8.8%、糖尿病黄斑浮腫3.5%を含む)に上昇した。

 追跡期間中に合併症を少なくとも1つ発症した者は60.1%、2つ以上発症した者は28.4%。解析の結果、若年発症2型糖尿病患者では細小血管症を含む糖尿病関連合併症のリスクが高く、ほとんどが成人に達するまでに複数の合併症を発症していた。細小血管症の危険因子として少数民族〔ヒスパニック系、ハザード比(HR)1.50、95%CI1.13~2.00〕、高血糖(HR 1.18、95%CI 1.14~1.22)、高血圧(同1.44 、1.16~1.80)、脂質異常症(同1.45 、1.16~1.82)が抽出された。

 TODAY研究グループの責任者で米・University of ColoradoのPhilip Zeitler氏は「TODAY2の参加者では、2型糖尿病診断後15年以内に、60%が糖尿病関連合併症を発症し、約3分の1が複数の合併症を発症していた。今回の結果から、若年発症2型糖尿病患者では発症時からあらゆる血糖コントロール法を用いて合併症発症の予防、遅延を図り、進行を抑制することの重要性が示唆された」と述べている。

(大江 円)