日本アレルギー学会は8月3日、気管支喘息を含むアレルギー疾患患者の大半が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンは接種可能であり、接種を推奨するとの声明を公式サイトで公表した。ただし、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン接種時にアナフィラキシー反応を呈した者などでは推奨しないとしている。(関連記事「アレルギー出現例にも2回目接種は可能」)

接種前は喘息治療薬による管理を

 厚生労働省は7月27日、公的予防接種にアストラゼネカ(AZ)SARS-CoV-2ワクチンの追加を決めるなど、ワクチンの接種拡大に期待が寄せられる(関連記事「AZワクチン、添付文書改訂」)。しかしわが国では、国民の2人に1人が花粉症や食物アレルギーなどのアレルギー疾患を有するとされ、アレルギー疾患患者がワクチン接種に迷うことが想定される。

 今回の声明は一般向けに作成したもので、以下の3点から成る。

 1点目は「日本アレルギー学会として、ワクチン接種を推奨します」と明言している。海外の報告でワクチンは多くの変異株に対し有効性が示されている。死亡や流産を増やさないなどリスク・ベネフィットの観点から、SARS-CoV-2ワクチン接種で得られる効果の方が極めて大きいとの見解を示した。

 2点目は「アレルギー疾患の患者さんについても、ほとんどの方でワクチン接種は可能です」としている。気管支喘息患者は、ワクチンの優先接種対象の「基礎疾患を有する者」に含まれることに言及。まれではあるが、ワクチン接種後に軽度の喘息発作の発生が報告されており、接種前は喘息治療薬による管理に努めるよう勧めている。

 また喘息以外に、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、食物や薬剤へのアレルギーを有する患者も接種は可能とした。

重いアレルギー反応例では、条件を設け接種を考慮

 3点目は「こういう人は接種を慎重に判断すべきと考えます」として、mRNAワクチン接種時にアナフィラキシーなど重篤なアレルギー反応を呈した者、同ワクチンに含まれるポリエチレングリコール(PEG)に重篤なアレルギー反応を起こしたことがある者への接種は推奨しないとした。

 PEGに類似した構造を持つポリソルベートに重いアレルギー反応を来した者へのワクチン接種については、専門医が適切に判断し、アレルギー反応への十分な対応ができる医療体制下に限り接種を考慮すべきとしている。

 なお、PEGは大腸内視鏡検査の前処置に用いる腸管洗浄剤の主成分であり、点眼薬などの薬剤にも含まれている。さらにポリソルベートは肺炎球菌やインフルエンザワクチンをはじめとする医薬品、乳化剤などの食品添加物としても用いられている。しかし同学会は、PEGとポリソルベートが必ずしもアレルギー反応の原因とは限らないとし、不安がある場合はかかりつけ医や専門医への相談を勧奨している。

(田上玲子)