新型コロナウイルスの変異ウイルスで、感染力の強いデルタ株の流行を受け、各国政府は再び規制強化へかじを切り始めた。マスクの着用要請が復活し、ワクチン接種完了の証明書の提示を義務付ける国も増えている。
 人口の約半数が接種を終えた米国では、疾病対策センター(CDC)が7月下旬、5月に緩和したマスク着用指針を見直した。感染が深刻な地域では、接種完了者にも屋内でのマスク着用を要請するという内容だ。
 CDCのワレンスキー所長は声明で、「接種後にデルタ株に感染した人たちもウイルスを広げる恐れがある」ことが分かったため、指針を見直したと説明。公務員に対する接種義務化も拡大しているほか、ニューヨーク市では9月13日から飲食店やスポーツジムなどを利用する客や従業員に接種証明の提示を義務付ける。
 欧州では、フランスが7月下旬から美術館や映画館に入る際に接種完了や検査陰性の証明書の提示を義務化。今月9日からは飲食店や飛行機などにも適用を広げる。イタリアも6日から飲食店や映画館などの利用時に同様の証明書の提示を義務付ける。
 ワクチン接種を終えた人に対する追加の「ブースター接種」導入の動きも出始めた。3回目の接種によりデルタ株への抗体が大きく増えるとされているためで、イスラエルは1日から、60歳以上の市民を対象に開始した。英国とドイツは9月から実施する方向だ。米国も導入を排除していない。
 ただ、先進国で議論が進む追加接種については、途上国へのワクチン供給の障害になるという懸念も根強い。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は4日、「既にワクチンの世界供給の大部分を使用している各国が、さらにこれを使う事態は容認できない」と述べ、接種が進まない国々との格差是正を優先するよう訴えた。 (C)時事通信社