新型コロナウイルスの感染が急拡大し、国内の新規感染者数は5日、東京都の5042人を含め、初めて1万5000人を超えた。自宅療養者数は急増し、政府は重症者や重症化リスクの高い患者以外は原則自宅療養とする方針を示している。ただ、患者本人のリスクが低くても、同居家族が重症化リスクを抱えている場合もあり、家庭からは「大丈夫なのか」と不安の声が上がる。
 都内に住む妊娠6カ月の20代女性は7月末、30代の自営業の夫が発熱して陽性が判明し、現在も自宅療養中。当初から「妊婦が感染したら胎児に影響はあるのか」「薬は飲めるのか」と心配が尽きなかった。夫と部屋を分け、トイレや風呂を使用後に消毒するなど対策をしたが、「これで本当に大丈夫なのか不安」とこぼす。
 夫は療養先のホテルを案内されるまで3日かかったため断ったという。女性は「すぐ入れるならホテルで療養したかった。施設が足りなくなることは予測できたのに、なぜ目の前の対処しかできないのか」と政府の対応に疑問を呈した。
 都内の50代女性は7月中旬、家族4人全員の感染が判明。夫とぜんそく持ちの娘が入院し、無症状だった80代の母親と2人で自宅に残った。常に解熱剤を服用しながら母親の介護に当たったため「体を休められず苦しかった」と振り返る。
 療養中は「いつ悪化するか分からず本当に不安だった」といい、「自分より深刻な中等症の人は病院での支えが必要。自宅療養はあまりに過酷」と指摘。入院を制限する政府方針を「罹患(りかん)したことがない人の判断で決められ、本当に苦しんでいる人のことは分からないのだろう」と非難した。
 国際医療福祉大の和田耕治教授(公衆衛生学)は政府方針について、病院などの対応が重症者優先であることから「受け入れざるを得ない状況」と話す。一方で、「政府は休業要請や公共交通機関の制限など、患者を減らす施策を強く打ち出すべきだ」と注文を付けた。 (C)時事通信社