ノルウェー・Haukeland University HospitalのIvar M. Austevoll氏らは、腰椎変性すべり症を伴う症候性腰部脊柱管狭窄症の患者を対象にした多施設非劣性試験NORDSTEN-DSにおいて、スクリュー、ロッド、プレートなどの固定器具を用いるインストゥルメンテーション併用固定術を追加した除圧術に対し、除圧術単独の非劣性が示されたとN Engl J Med2021; 385: 526-538)に発表した。

7割超の患者が術後2年で腰痛評価指標を30%以上改善

 腰椎変性すべり症の治療にはインストゥルメンテーション併用固定術が広く用いられているが、その医療コストは決して低くなく、米国では2011年に同術式の費用が約130億ドル(約1兆4,200億円)に上ったとの報告もある(Spine 2019; 44: 369-376)。

 NORDSTEN-DSでは、症候性腰部脊柱管狭窄症に対する保存的治療が奏効せず、1椎間にすべり量3mm以上の腰椎変性すべり症が確認された患者267例が対象となった。平均年齢は約66歳で、約75%が1年以上の下肢痛、80%超が1年以上の腰痛を有していた。

 対象を除圧術単独群(134例)と除圧術にインストゥルメンテーション併用固定術を追加する固定術追加群(133例)に1:1でランダムに割り付け、2年間追跡した。

 主要評価項目は、腰痛疾患による障害度を示すOswestry Disability Index(ODI、範囲0~100、高スコアほど重度障害)の術後2年間における30%以上のスコア低下とした。

 Modified intention-to-treat解析における主要評価項目の発生率は、除圧術単独群が133例中95例(71.4%)、固定術追加群が129例中94例(72.9%)だった(群間差-1.4%ポイント、95%CI -12.2~9.4%ポイント)。

 Per-protocol解析における主要評価項目の発生率は、除圧術単独群が106例中80例(75.5%)、固定術追加群が110例中83例(75.5%)だった(群間差0.0%ポイント、95%CI -11.4~11.4%ポイント)。

 いずれの解析においても、95%CI下限値が事前に設定した非劣性マージンの-15%ポイントを上回り、インストゥルメンテーション併用除圧固定術に対する除圧術単独の非劣性が示された。

再手術率は除圧術単独でやや高い

 副次評価項目の結果も、全般的に主要評価項目と同じ傾向が示された。術後2年間のODIスコアの平均変化量は、除圧術単独群が-20.6、固定術追加群が-21.3だった(群間差0.7、95%CI -2.8~4.3)。再手術率はそれぞれ12.5%(120例中15例)、9.1%(121例中11例)だった(同3.4%ポイント、-4.6~11.5%ポイント)。

 また、術後2年時点の画像所見が得られた100例中86例(86.0%)で良好な固定が認められた。

 以上の結果を踏まえ、Austevoll氏らは「1椎間の腰椎変性すべり症を有する患者を術後2年間追跡した検討において、インストゥルメンテーション併用除圧固定術に対する除圧術単独の非劣性が示された。再手術率は除圧術単独の方がやや高かった」と結論。「除圧術の施行後に固定術が必要になる可能性は否定できないが、除圧固定術を受けた患者では器具の除去などで追加手術を要する可能性もある」と付言している。

太田敦子