新型コロナウイルスの緊急事態宣言下で開催された東京五輪は8日夜、国立競技場で行われる閉会式をもって幕を閉じる。開会式ではピクトグラムを再現するパフォーマンスやドローンで空に描いた地球儀といった演出が話題となったが、閉会式はどんな式典となるのだろうか。
 1964年に行われた東京五輪の閉会式では、歴史に残るハプニングがあった。各国旗手の入場後、国ごとに行進するはずだった選手たちが人種も性別も関係なく入り乱れ、踊ったりふざけあったりしながら会場を練り歩いた。競技の緊張から解放された選手たちが笑顔で熱狂する光景は平和の象徴と受け止められ、目撃した文豪らも「無秩序の美しさ」(三島由紀夫)「最高のお祭り気分の数十分」(大江健三郎さん)と激賞している。
 その後も、閉会式では国別に分かれない「東京式」の入場スタイルが受け継がれてきた。しかし、国内ではコロナの感染状況が急速に悪化している。競技終了後2日以内に選手村を退去するルールにより、既に帰国した選手団も多く、64年のような選手たちの熱狂が見られるかは未知数だ。
 次の開催地に五輪旗を渡し、次回大会をPRする引き継ぎセレモニーも行われる。2016年のリオデジャネイロ大会閉会式では「スーパーマリオ」に扮(ふん)した安倍晋三首相(当時)が登場し話題となった。24年大会が行われるパリがどんな未来図を描くかが見どころとなる。
 式典には秋篠宮さまが天皇陛下の名代として出席されるが、五輪憲章に従い閉会を宣言するのは国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長だ。最後に聖火が消され、17日間にわたる東京五輪は閉幕する。64年の閉会式は「蛍の光」の大合唱で締めくくられたが、今回の式典ではどんな音楽が流れるかも注目点。開会式で選手入場を盛り上げたゲーム音楽に代わり、アニメの音楽やキャラクターが重要な役割を果たすかもしれない。 (C)時事通信社