東京都内の新型コロナウイルスの新規感染者は5日に5000人を突破し、医療逼迫(ひっぱく)は深刻さを増している。都は症状の軽い人の退院を促す病床確保策を示したが、後手の対応が続く。デルタ株の拡大に加え、人出を十分抑え切れておらず、専門家は新規感染者が18日に1万人超になると予測。「ワクチン効果」による楽観論から一転、厳しい現状を突き付けられている。
 「入院すべき人ができない状態に陥った」。都内の感染症指定医療機関の医師は、病床が埋まる窮状を訴えた。入院患者は7日現在3485人で確保病床の半数を超え、国指標のステージ4に。都基準の重症者は7月中旬に60人前後で推移していたが、わずか半月で150人に増え、過去最多の160人(1月20日)に近づく。この医師は「デルタ株の脅威を国も都も甘く見ていた」と憤る。
 重症者は6月下旬に30人台までに減り、都も国と同様、高齢者へのワクチン接種の成果と自信を深めた。ちょうどその時期、小池百合子知事が過労で入院。「知事が不安がるネガティブな情報は避けられ、楽観論が広がった」(都幹部)。
 小池氏は7月1日の復帰後、高齢者に代わり重症者の中心となった50代に「積極的なワクチン接種が必要」と訴えるようになった。都幹部は「それ自体は正しいが、若者がコロナを人ごとと捉えてしまった」と話す。現在は30代以下が感染者の7割を占め、重症化例も出ている。
 都内には同12日から緊急事態宣言が出ているが、大規模商業施設への休業要請には踏み込んでいない。業界の反発に加え、協力金の国の補助率が大幅に下がったためだ。緩い措置とデルタ株の台頭、そうした中で迎えた東京五輪。お祭りムードと相まって、宣言の効果は限定的となった。
 五輪閉幕後はお盆が控える。小池氏は今月6日の記者会見で「お盆休みは人と人との接触を劇的に減らす」と強調し、外出や帰省、旅行の自粛を改めて求めた。都幹部は「当然そうしてもらいたい」としながらも「いったん緩んだ空気はそう簡単には戻らない」と厳しい見方を示した。 (C)時事通信社