世界的に患者が急増している認知症は、発症前の早期に適切な予防的介入やケアを導入することが重要となる。九州大学大学院衛生・公衆衛生学分野の本田貴紀氏らの研究グループは、久山町研究の参加者約800例を24年間にわたって前向きに追跡し、認知症発症を予測する簡易スコアを作成したとAlzheimers Dement2021; 13: e12221)に報告した。

9項目からリスクを予測

 今回の検討で研究グループは、同施設が1961年から福岡県糟屋郡久山町の住民を対象に実施している久山町研究からデータを抽出。認知症のない65歳以上の795例(男性310例、女性485例)について1988~2012年の追跡を行い、健康診断で測定できる因子から認知症の発症確率を予測する統計的モデルを検討した。追跡期間中に364例が認知症を発症した。

 多変量解析の結果、次の9項目の確認により、10年後の認知症発症リスクを高精度に予測できることが明らかになった(図-左)。

  1. 年齢
  2. 女性
  3. 教育年数9年以下
  4. 高血圧あり
  5. 糖尿病あり
  6. BMI18.5未満
  7. 脳卒中既往あり
  8. 現在の喫煙習慣
  9. 日中の活動低下

図. 認知症発症予測モデルの較正と簡易スコア

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九州大学プレスリリース

 さらに研究グループは、この予測モデルを基に簡易スコアを作成(図-右)。「将来の認知症発症リスクが高い人を容易かつ早期にスクリーニングし、適切な介入につなぐツールとして応用できる」との期待を示した。今後、実用化に向けた取り組みを進めるとしている。

(須藤陽子)