新型コロナウイルスの影響で史上初の1年延期となった東京五輪。異例の大会の光と影を見詰めた世界は、8日の閉会式から次の冬季、夏季五輪にバトンをつなごうとしている。
 ◇多様性の裏で
 「一つの米国、一つのチームで共に成し遂げられることを示した」。バイデン米大統領は閉幕前、多様性を体現した選手団をたたえた。
 ただ、スポーツ大国で、東京五輪は終始盛り上がりに欠けた。独占放映権を持つNBCテレビによる中継の視聴者数は1日平均で約1700万人。2016年のリオデジャネイロ五輪の半数近くに落ち込んだ。
 ソーシャルメディアの普及により、五輪に触れる手段が多様化。地球の裏側で競技が放映される頃には多くの人が結果を既に知っていた。体操女王のシモーン・バイルス選手の欠場が続いたことも響いた。「五輪熱」は下がる傾向にあり、モンマス大の世論調査では、過去の大会と比べて関心が「高まった」のは3%。36%は「低くなった」と答えている。
 ◇無観客論も
 中国にとって東京五輪は、金メダル数でライバル米国とトップ争いを演じる国威発揚の場となった。人民日報系の環球時報英語版は「いろんな食事、清潔な会場など日本のサービスは素晴らしかった。段ボールのベッドは快適だった」と感謝する選手の声を紹介した。
 北京冬季五輪を半年後に控え、デルタ株が広がり始める中で注目されたのは、やはりコロナ対策だ。中国の大会組織委員会幹部は7月の記者会見で「東京の対策を注視しており、手本にする」と述べた。中国メディアは、無観客は「今後の競技大会でも続く」(専門家)という意見や、冬季大会は屋外会場が多いため「中国人は直接見られるだろう」(別の専門家)と有観客を予想する分析も伝えている。
 欧米などでは、人権侵害を理由に要人の欠席やスポンサー企業の降板を求める声が上がる。中国政府は「国際社会はスポーツの政治問題化に反対だ」(外務省報道官)とくぎを刺した。
 ◇セーヌ川で開会式
 次の夏季大会を24年に控えるフランス。レゼコー紙は今月5日付の記事で「終盤でアクシデントがない限り、要の部分で成功した」と東京五輪を評価した。パリ市内のパブリックビューイング会場では8日の閉会式に合わせて音楽ライブがあり、帰国した選手も合流。マクロン大統領はパリ五輪開会式をセーヌ川で行う考えで、盛り上げに躍起になっている。
 一方で、コロナ禍が早期に収束するかも気掛かりなようだ。ルモンド紙(電子版)は、五輪と感染拡大の因果関係はないという菅義偉首相の説明に「疑問が残る」と指摘。「緊急事態宣言のあまりに早い解除後、わずか数週間で再発令され、ワクチン接種も遅れている」と日本政府の対応を批判している。 (C)時事通信社