新型コロナウイルス新規感染者の急増を受け、ロックダウン(都市封鎖)を可能にする法制度を日本でも導入すべきだとの声が専門家や自治体の間で強まってきた。現在の枠組みでは限定的な強制措置しか取れず、感染拡大に歯止めがかからないとの焦りからだ。菅義偉首相は慎重だが、自民党内からも検討を求める意見が出ている。
 「ロックダウンを検討してほしい」。まん延防止等重点措置の地域拡大が決まった5日、政府の基本的対処方針分科会で専門家からこんな声が上がった。分科会の尾身茂会長は記者団に、感染を抑え込めなければ「ロックダウンの法制化さえ議論しなければいけなくなる」と語った。
 全国知事会も「ロックダウンのような手法の在り方の検討」などを盛り込んだ緊急提言をまとめており、東京都の小池百合子知事は3日のテレビ会議で「法改正などの必要性も含めて議論すべき時期に来ているのではないか」と強調した。
 ロックダウンは欧米を中心に取られてきた手法だが、営業禁止や交通機関停止など、国によって内容や強制力の強さは異なる。専門家も「厳密な定義はない」と語る。
 新型コロナ対策の特別措置法は、罰則を科せる対象を事業者に休業や営業時間短縮を命じる場合に限定している。専門家や知事会は、ロックダウンの具体像を明確にしていないが、個人に対する罰則付きの外出自粛命令などが念頭にあるようだ。
 ただ、政府はいまのところロックダウンには慎重だ。首相は先月30日の記者会見で「日本にロックダウンという手法はなじまない」と明言。「欧州ではロックダウンしても、なかなか出口は見えなかった。結果的にはワクチンだった」と述べ、「切り札」と位置付けるワクチン接種の推進に全力を挙げる考えだ。
 背景には、「ロックダウンは経済への打撃になる」(政府関係者)との懸念があるとみられる。私権を制限する内容のため、政府高官は「強制力の強い法案を成立させるのは大変だ」と指摘する。このため、首相と公明党の山口那津男代表は3日の会談で、法整備に慎重な立場で一致した。
 とはいえ、緊急事態宣言の効果は薄れつつあり、自民党内からもロックダウン導入は避けられないとの声が出始めている。下村博文政調会長は4日のテレビ番組で「なじまないから議論しないでいいとはならない」と述べ、消極的な首相に異論を唱えた。「新たな変異株でワクチンが効かなくなったときにどうするのか」として、「ワクチン一本やり」の姿勢にも疑問を投げ掛けた。 (C)時事通信社