日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本新生児成育医学会は本日(8月10日)、新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)陽性妊婦であっても、条件を満たす場合は宿泊療養・自宅療養としても差し支えないとの内容を公表した。SARS-CoV-2感染拡大により、一般コロナ病床や高次医療機関が満床になりつつある事態を受けた対応。

SARS-CoV-2陽性妊婦の管理:電話による健康チェックを

 厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き第5.2版」では、COVID-19重症化の危険因子として妊娠後期を挙げており、妊婦は入院勧告の対象に含まれる。

 その一方で、厚労省の「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象並びに自治体における対応に向けた準備について」のQ&Aでは、病床確保や都道府県全体の入院調整に最大限努力した上で、なお病床が逼迫する場合の対応として、65歳以上の者、呼吸器疾患を有する者などに加えて妊婦であっても、「医師が入院の必要がないと判断した場合には、かつ宿泊療養(適切な場合は自宅療養)において丁寧な健康観察を行える場合には、宿泊療養・自宅療養としても差し支えない」としている。

 これらを参照した上で3学会は、流行第五波の到来により一般コロナ病床、高次医療機関が満床になりつつあるとし「妊婦であっても、上記条件を満たす場合は、宿泊療養・自宅療養としても差し支えありません」との見解を示した。また無症状/軽症例に対し、妊娠初期/中期では患者の不安に寄り添いつつ、電話による健康チェックなどの実施を呼びかけている。

コロナ陽性妊婦から出生した新生児の取り扱い:直ちに隔離すれば濃厚接触者とはならない

 3学会によると、SARS-CoV-2陽性妊婦から出生した新生児を受け入れられる新生児科がないことで、妊婦の搬送先が見つからない事例が発生しているという。しかし、厚労省の手引きにはSARS-CoV-2陽性妊婦から出生した新生児の取り扱いについての記載がなく、保健所などではこうした新生児を濃厚接触者扱いとするよう指導しているケースがあるようだ。

 そのため現時点では、日本新生児成育医学会が昨年(2020年)10月に発表した「新型コロナウイルス感染症に対する出生後早期の新生児への対応について」に基づき、地域の保健所、産科・新生児科で次の点を連携するよう求めている。

  1. SARS-CoV-2陽性妊婦では、出生直後から新生児を保育器隔離もしくはコホート隔離すれば、新生児は濃厚接触者扱いにはならない。ただし、分娩時に妊婦がSARS-CoV-2陽性であることを知らずにカンガルーケア(早期母子接触)や直接授乳などの濃厚接触をしている場合は濃厚接触者として扱う
  2. 分娩直後に新生児を適切に隔離すれば、母子間の垂直感染または水平感染はまれであると考えられる
  3. しかし出生児の感染リスクはゼロとはいえないことから、生後24時間以内および48時間以降の2回ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または Loop-Mediated Isothermal Amplification(LAMP)などの核酸増幅検査を実施。2回とも陰性が確認できれば、保育器隔離やコホート隔離を解除する。また出生直後は陰性であっても、その後陽性となる報告もあるため、上記の期間に2回の検査が推奨されるが、事情があれば24~48時間の検査のみでも許容される

「医療資源を最大限有効に使えるよう協力を」

 現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の爆発的な流行拡大によって、多くの都道府県で新規感染者数が過去最多を更新している。  

 本日公表されたのは、SARS-CoV-2陽性妊婦およびその妊婦から出生した新生児の取り扱いについて、これまで公表されている通達や指針を整理したもの。3学会は、再度確認し医療資源を最大限有効に使えるよう協力を求めている。

(田上玲子)