新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染予防のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン接種後における副反応として、ごくまれに心筋炎・心膜炎を発症することが知られている。米・Boston Children's HospitalのAudrey Dionne氏は、ファイザー製mRNAワクチンであるトジナメランを接種後に心筋炎で入院した小児15例を、心電図(ECG)、心エコー図、心臓MRI(CMR)などで評価するケースシリーズ研究を実施。一部で左室駆出率(LVEF)低下や遅発性ガドリニウム造影所見が認められたと、JAMA Cardiol2021年8月10日オンライン版)で報告した。(関連記事:「コロナワクチン接種後心筋炎・心膜炎に声明」「心筋炎・心膜炎は100万回接種で1件未満」)

LVEF低下は15例中3例

 対象は、2021年5月1日〜7月15日にトジナメラン接種後30日以内に心筋炎でBoston Children's Hospitalに入院した19歳未満の小児。心筋炎は、他の診断が付いておらず胸痛およびトロポニン値上昇が認められた場合と定義した。全例をECG、心エコー図、CMRで評価した。

 期間内に心筋炎で入院したのは15例(男性14例、年齢中央値15歳)で、症状は胸痛が15例(100%)、発熱が10例(67%)、筋肉痛が8例(53%)、頭痛、疲労が各6例(40%)に認められた。トロポニン値は入院時に全ての患者で上昇(中央値0.25ng/mL)しており、入院後0.1〜2.3日でピークに達した。

 入院時の心エコー図では、LVEF低下が3例(20%)、global longitudinal strain(GLS)あるいはglobal circumferential strain(GCS)異常が5例(33%)に認められた。冠動脈瘤や心囊液貯留が認められた患者はいなかった。

 ECGでは、入院時にびまん性ST上昇が6例(40%)で認められ、入院中には8例(53%)に増加した。退院時にST-T波の変化が持続していたのは9例(69%)だった。CMRでは、遅発性ガドリニウム造影所見が12例(80%)、T2強調画像における局所的高信号が2例(13%)、細胞外容積率上昇が3例(20%)に認められた。

 なお、退院後1〜13日の追跡期間中に11例(73%)で症状が消失したが、1例(7%)では心エコー図上の左室収縮能低下が境界域で継続した。トロポニン値は3例(20%)で若干の上昇が続いた。1例(7%)では外来モニターで非持続性の心室頻拍が認められた。

 以上の所見を踏まえ、Dionne氏は「mRNAワクチン接種後の小児の心筋炎では死亡例がなく、短期の観察で良性の経過をたどった」と指摘。その上で「長期のリスクについては不明であり、大規模な研究が必要である」としている。

(平山茂樹)