新型コロナウイルスの感染爆発が各地で深刻化する中、与党は菅義偉首相が出席しての国会審議に消極的だ。野党による臨時国会の早期召集要求を事実上拒否し、2~3時間の衆参厚生労働委員会などの閉会中審査を行うにとどめている。秋の衆院選に向けて首相が野党に追及され、さらなる打撃を受ける事態を回避する狙いが透ける。
 立憲民主党の安住淳国対委員長は11日に自民党の森山裕国対委員長と会談し、臨時国会召集を要求。森山氏は、政府がコロナ対応などに当たっていることを挙げ、「与党としては慎重な考え方だ」と答え、応じなかった。
 一方、森山氏は閉会中審査には前向きだ。7月以降、既に衆参各4回実施。ただ、いずれも短時間で、野党の首相出席要求は一度も実現していない。首相は緊急事態宣言などに関する国会報告も西村康稔経済再生担当相に任せきりで、国会への登院は6月16日の通常国会閉会日が最後だ。
 与党が首相の国会出席に及び腰なのは、追及される材料が山積みだからだ。ワクチン供給は停滞し、新規感染者数は過去最多を更新し続ける。東京五輪開催で「自粛ムード」が緩んだとの見方も多い。緊急事態宣言の対象拡大・期限延長を求める意見もある。野党は、出入国管理施設に収容中のスリランカ人女性が死亡した問題でも手ぐすね引く。
 首相の疲労を指摘する声も出ている。広島・長崎原爆忌では、あいさつ文を読み飛ばし、式典に遅刻する不手際が続いた。ある閣僚は、コロナ対応に追われる首相が「相当疲れている」と指摘。自民党幹部は「点滴でもして1日ゆっくりした方がいい」と勧める。
 安住氏は11日、記者団に「政府の対策が十分か本格的に検証したい」と述べ、引き続き臨時国会召集を求めていく考えを強調。立民幹部は12日、取材に「国民が一番困っているときに仕事をしないなら政権を手放した方がいい」と訴えた。 (C)時事通信社