新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからない中、神奈川県は7月末から、希望する県民に抗原検査キットの無償配布を始めた。陽性と分かった県民が通勤や通学を控え、他人への感染を防ぐ効果を期待。全国の自治体でも珍しい取り組みで、黒岩祐治知事は「神奈川モデル」としてPRする。
 抗原検査は熱やせき、のどの痛みなど風邪症状のある人が、鼻の粘膜を綿棒でぬぐい、コロナかどうかを確かめるもの。試薬により約45分で結果が判明。陽性であれば、医療機関などの受診につなげる。県は自宅で失敗しても再検査できるよう、2回分を1セットにして希望者に郵送を始め、これまで約3000人に届いている。
 政府も学校などに抗原検査キットの配布を始めたが、神奈川モデルは自宅で気軽にできるのが売りだ。配布から約1週間の時点で、体調不良を感じた39人がキットを使い、6人の陽性が判明した。
 潜在的な感染者を掘り起こすため、陽性者は増えるが、県の阿南英明理事(医療危機対策担当)は「これまでコロナの自覚無しに感染を広げていた人が、陽性の判明を受けて通勤・通学を控えるため、最終的には感染者が減る」と説明する。
 県は、アンケート調査で配布を希望した約10万人にキットを順次送る方向だ。将来的には全県民に行き渡り、「家庭の体温計のように気軽にセルフチェックに使ってほしい」(阿南氏)。
 これまでのコロナ対策は、重症化しやすい高齢者対策に力点を置いてきたが、感染者数全体の減少にはつながらなかった。県はキットの配布を通じて、就学・就労世代の感染抑制を重視する戦略に転換する。 (C)時事通信社