時事通信の世論調査で、菅内閣の支持率が2カ月連続で30%を下回る「危険水域」に低迷した。新型コロナウイルスの感染急拡大が続く中、菅義偉首相が期待した東京五輪の政権浮揚効果は乏しく、自民党内は秋の衆院選へ危機感が募る。局面打開へ複数候補による総裁選実施を求める声が強まっている。
 内閣支持率は8月が29.0%で、7月は29.3%。危険水域に突入すると首相の求心力低下に拍車が掛かり、政権維持が困難になるとされる。各報道機関の調査も同じ傾向で、7、8両日に実施した朝日新聞は28%。7~9日のNHKは29%といずれも昨年9月の政権発足後最低を記録した。
 自民党の閣僚経験者は13日、取材に「引き続き厳しい」と嘆き、二階俊博幹事長の周辺も「五輪の浮揚効果はなかった」と認めた。党内には「総裁が交代しないと衆院選を戦えない」(ベテラン)、「もうこの政権は終わりだ」(中堅)と首相交代を求める声すら漏れ始めている。
 こうした状況に、衆院選前の総裁選実施に期待が広がる。首相や二階氏の念頭にあるのは衆院選先行で、総裁選が先になった場合でも無投票再選を狙っているとされる。だが、別の中堅は「そんなことをしたら大変だ。党内で論戦を交わす必要がある」と主張。コロナ対策などで複数候補が議論を戦わせれば、「世間の注目を集められる」との狙いがあるようだ。
 ただ、衆目の一致する「ポスト菅」候補は見当たらない。昨年の総裁選に出馬した岸田文雄前政調会長は態度を明らかにしておらず、石破茂元幹事長は慎重姿勢。意欲を示す高市早苗前総務相と、独自候補擁立を模索する中堅・若手は、20人の推薦人集めが課題となる。
 これに対し、麻生派ベテランは「コロナ禍で指揮官を代えていいのか」との懸念を示す。感染を抑え込めない中での党内政局は世論の反発を招きかねないためだ。細田派の閣僚経験者は「経済、雇用対策などやるべきことをやっていくしかない」と語った上でこう強調した。「局面打開にウルトラCはない」。 (C)時事通信社