【シリコンバレー時事】映画の劇場公開からインターネット配信まで、間隔が短くなっている。米アマゾン・ドット・コムは上映を終えたばかりの人気アニメ映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」(庵野秀明総監督)を13日から世界各地で独占配信。新型コロナウイルス禍の「巣ごもり需要」を背景に前倒しの波が広がり、公開と同時に配信される作品も増えてきた。ただ、これが原因でトラブルになるケースもある。
 「海外ファンにいち早く見てもらえる方法を模索していた」。エヴァの配信が発表された7月1日、庵野氏はこう説明した。日本での公開は一部を除き7月21日で終了。その後1カ月足らずでのネット移行となったが、ファンには好評だ。
 アマゾンなどによる動画配信は、コロナで外出がままならない世相を反映して売り上げを拡大。注目の新作をネットで早く鑑賞できるようにする競争が配信各社の間で繰り広げられている。
 しかし、こうした動きを歓迎しない関係者はいる。米映画「TENET テネット」(2020年)を手掛けたクリストファー・ノーラン監督も反対派の1人。協力関係にある米映画会社ワーナー・ブラザースが昨年末に21年公開作品の同時配信を発表すると、「何の相談もない」と猛反発した。劇場の大画面を想定した作品づくりが軽視されると考えたからだ。
 ワーナーは映画館チェーン大手からも批判され、22年公開作品のネット配信を一定期間遅らせる軌道修正を図った。一方、主演映画「ブラック・ウィドウ」の興行収入に連動して報酬を得る契約だった米女優スカーレット・ヨハンソンさんは、同時配信を決めた米ウォルト・ディズニーを提訴。裁判の行方が注目されている。
 ネット配信はコロナ禍でも消費者に鑑賞の機会を提供できる半面、劇場公開を前提にしてきたビジネスを一変させようとしている。共存の道はあるのか、映画業界が難題に直面している。 (C)時事通信社