菅政権が看板政策に掲げるデジタル庁が9月1日、発足する。新型コロナウイルス禍で明らかになった行政のデジタル化の遅れを挽回し、国民の利便性向上を目指す。ただ、目玉とする民間からの人材登用は職員の兼務を認めており、出身企業への情報漏えいをいかに防ぐかが課題となる。
 政府は、同庁を官民デジタル化の司令塔と位置付け、全ての行政手続きを60秒以内にスマートフォンで完結させることを目指す。各省庁への勧告権を持ち、情報システム関連予算を一括計上できるなど強い権限を持つ。
 同庁は発足後速やかに、デジタル政策の方向性を示す重点計画を策定。同時に、新型コロナワクチンの接種記録に関し、マイナンバーカードの個人向けサイト「マイナポータル」で閲覧できるよう、システム開発を急ぐ。平井卓也デジタル改革担当相は「(同庁が取り組む政策の)フラッグシップ(旗艦)の一つになり得る」と期待する。
 人材は、事務方トップのデジタル監やその補佐役の「最高技術責任者」「最高AI責任者」などを民間から起用。500人規模の職員のうち、100人程度は民間との兼業を認め、週に数日勤務の非常勤とする。
 民間からの登用には懸念もある。兼職の多い職場となるため、出身企業への情報漏えいや、特定企業を優遇する可能性も否定できないためだ。先の通常国会では野党から「特定企業に都合の良いルールづくりや予算執行が行われるのではないか」などの指摘が相次いだ。
 政府は、採用時に職員の出身企業、保有する株式情報を登録することで懸念の解消を図りたい考え。しかし、実効性を確保できるかは不透明で、同庁が発注するシステム情報などが流出すれば、公平な入札が阻害されるリスクをはらむ。 (C)時事通信社