2021年4~6月期の実質GDP(国内総生産)速報値は、マイナス成長だった1~3月期の落ち込みを取り戻せず、日本経済は景気停滞から抜け出せなかった。新型コロナウイルス禍で緊急事態宣言の発令・延長と解除を繰り返す悪循環が続き、経済活動の正常化は進まない。感染力の強いデルタ株の猛威に菅政権は有効策を見いだせず、経済低迷の長期化が不可避との見方が強い。
 4~6月期は3度目の宣言発令で、内需の柱である個人消費は低い伸びにとどまった。さらに、4度目の宣言が発令中の7~9月期も消費低迷が確実だ。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、現在発令中の宣言による個人消費の下押しは2兆1900億円に上ると試算。7~9月期の実質GDPは年率換算で前期比2~3%の低成長にとどまるとみる。
 一方、コロナワクチン接種で先行した米欧の回復基調は鮮明だ。4~6月期は、米国の実質GDPの実額が感染拡大前の19年10~12月期を上回り、過去最高を更新。ユーロ圏の実質GDPも年率で前期比8.3%の高成長だった。
 菅政権は8月末までに全国民の4割超で2回接種の完了を目指す。しかし、デルタ株では、感染の連鎖を食い止める「集団免疫」獲得に8~9割の接種率が必要との指摘がある。度重なる宣言で人出抑制効果も薄らいでおり、「デルタ株による感染爆発を抑制できないと景気回復は年明けまでずれ込む」(小林真一郎・三菱UFJリサーチ&コンサルティング主席研究員)との見方も出ている。 (C)時事通信社