米・Kool Kids PediatricsのKashif Ali氏らは、12~17歳の男女約3,700例を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相試験TeenCOVEの中間解析で、モデルナ製新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの全体的なリスク・ベネフィット評価で良好な成績が示されたことをN Engl J Med2021年8月11日オンライン版)に発表した。12~17歳に対する同ワクチン接種後7日間の副反応として、注射部位の疼痛、頭痛、疲労感などが多く見られたものの、ワクチンに関連する重大な有害事象は発生しなかった。また、若年成人(18~25歳)と同等の免疫応答および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症予防効果が示されたとしている(関連記事「モデルナワクチン、若年者にも有効」「モデルナ製ワクチン、2回目で8割に発熱」)。

安全性および18~25歳と比較した免疫原性の非劣性を検討

 米疾病対策センター(CDC)は、2021年4月1日~6月11日における12~17歳のCOVID-19罹患率を、人口10万人当たり約900人と推計。小児は成人に比べ軽症で済む傾向にあるが、重症化して入院する場合もある。また、COVID-19パンデミックの社会的負荷(ストレス、学校閉鎖、社会的支援の喪失および児童虐待)は、特に子供で影響が大きい。

 進行中の第Ⅱ/Ⅲ相評価者盲検プラセボ対照試験では、2020年12月9日~21年2月28日に米国26施設で登録した12~17歳の健康な男女をモデルナ製ワクチン群(2,486例、各100µg筋注)およびプラセボ群(1,240例)に2:1でランダムに割り付け、28日間隔で2回接種した。ベースライン時の平均年齢は14.3歳、男性が51%、白人が84%、SARS-CoV-2感染歴が6%にあり、98%以上が2回目の注射を受けた。

 主要評価項目は安全性および免疫原性(成人を対象とした第Ⅲ相試験COVEで免疫原性を評価した18~25歳に対する非劣性)、副次評価項目は無症候性SARS-CoV-2感染およびCOVID-19発症の予防効果などとした。

疼痛、頭痛、疲労などが平均4日持続

 解析の結果、ワクチン群で1回目と2回目の接種後7日間に最も多く見られた副反応は、注射部位の疼痛がそれぞれ93.1%と92.4%(グレード3:5.4%、5.1%)、頭痛が44.6%と70.2%(同2.3%、4.5%)、疲労が47.9% と67.8%(同1.3%、7.6%)で、発熱は2.5%と12.2%(同0.4%、1.9%)だった。

 これに対し、プラセボ群では1回目と2回目接種後の注射部位の疼痛はそれぞれ34.8%と30.3%、頭痛は38.5%と30.3%、疲労は36.6%と28.9%、発熱はともに1.0%だった。

 局所性/全身性副反応は平均4日ほど持続した。7日を超えて続く局所性副反応(主に腋窩の腫脹や圧痛に起因)はワクチン群でより高く、2回目接種後(1.6%)と比べ1回目接種後(6.4%)で高かった。

 ワクチン群の局所性/全身性副反応の発現率は、今回の12~17歳とCOVE試験の若年成人(18~25歳)でおおむね類似していたが、紅斑は若年成人(1回目と2回目接種後でそれぞれ8.1%、10.1%)よりも12~17歳(同16.2%、20.5%)で高かった。死亡、小児多系統炎症性症候群(MIS-C)、その他の特筆すべき有害事象の報告はなかった。

若年成人と同等の免疫原性を示す

 免疫原性評価では、若年成人群(18~25歳、296例)に対する、青少年群(12~17歳、340例)の2回目接種から28日後の偽型ウイルスアッセイで評価した血清中中和抗体の幾何平均力価比は1.08(95%CI 0.94~1.24)、応答率(青少年群98.8% vs. 若年成人群98.6%)の絶対差は0.2%ポイント(同−1.8 ~2.4%ポイント)と推定され、非劣性基準を満たした。

 ベースライン時にSARS-CoV-2陰性のPer-protocol集団において、2回目接種から14日目以降のCOVID-19症例〔全身症状2つおよび呼吸器症状1つ+逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査陽性〕は、ワクチン群では報告されず、プラセボ群では4例だった。CDCによるCOVID-19の定義(全身および呼吸器症状1つ+RT-PCR検査陽性〕を用いると、ワクチン2回接種の有効性は93.3%(95%CI 47.9〜99.9%)、無症候性を含むSARS-CoV-2感染予防効果は55.7%(同16.8〜76.4%)と推定された。

COVID-19発症例が少ないために正確な有効性評価は困難

 以上の結果から、Ali氏らは「青少年に対するモデルナ製ワクチン接種は、第Ⅲ相試験COVEの若年成人と同様の安全性プロファイルを有し、免疫原性の非劣性を示した。有効性については、COVID-19発症例が少なかっため正確な評価は困難だったものの、同ワクチンは12~17歳においてもSARS-CoV-2感染防御に必要なレベルの中和抗体を安全に誘導すると考えられる」と結論。mRNAワクチン接種に関連して若年男性で見られる心膜炎・心筋炎については「100万回接種当たり13例と推定されており、今回の中間解析では報告がなかった。最終報告においても結果は変わらないと予想されるものの、安全性データは追跡期間中央値83日時点に基づくものであり、今後修正される可能性がある」と補足している。

 ファイザー製ワクチンの第Ⅲ相試験では、青少年における中和抗体価は若年成人よりも高いことが示されている(関連記事「ファイザー製ワクチン、12~15歳にも有効」)。この点について、同氏らは「モデルナ製では中和抗体を偽型ウイルスアッセイで測定したのに対し、ファイザー製では中和抗体を生ウイルス中和アッセイで測定しているため、両者の結果を単純に比較することは困難である」とコメントしている。

(坂田真子)

  • 50%阻害希釈倍率(ID50)の中和抗体応答が、ベースライン時の定量下限値未満から定量下限値以上への変化、または抗体価がベースラインから3.3倍以上に上昇と定義