米食品医薬品局(FDA)は8月12日に、免疫力が低下した人を対象にファイザー製およびモデルナ製の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの3回目接種を承認した。カナダ・University Health NetworkのVictoria G. Hall氏らは、臓器移植レシピエントを対象にモデルナ製ワクチン3回目接種の有効性と安全性を検討する二重盲検ランダム化比較試験(RCT)を実施。その結果、高い免疫原性と安全性が示されたと、N Engl J Med2021年8月11日オンライン版)に発表した。(関連記事「大半の国民に追加ワクチン、デルタ株対応」)

レシピエント120例をワクチン群とプラセボ群に1:1で割り付け

 SARS-CoV-2ワクチンは2回接種が標準的であるが、臓器移植レシピエントの場合、2回接種では十分な免疫原性が得られにくい。しかし、3回目の追加接種の有効性と安全性は定かではない。そこでHall氏らは、SARS-CoV-2ワクチン3回目接種の有効性および安全性を評価する目的でRCTを実施した。

 対象は、腎・肝・心・肺・膵の臓器移植を受けた18歳以上の患者のうち、モデルナ製ワクチンの2回接種が完了した120例(年齢中央値66.6歳、四分位範囲63.3~71.4歳)。2回目のワクチン接種の2カ月後に、3回目のモデルナ製ワクチンまたはプラセボ(整理食塩水)を接種する群に1:1でランダムに割り付けた。COVID-19罹患者は除外した。臓器移植から3回目のワクチン接種までの期間中央値は3.16年(四分位範囲1.71~6.12年)だった。

 主要評価項目は、4カ月後(3回目のワクチン接種から1カ月後)に実施した血清学的検査での抗受容体結合ドメイン(RBD)抗体価が100U/mL以上と定義した。副次評価項目は、中和抗体保有率および多機能性T細胞応答とした。

中和抗体保有率も上昇

 検討の結果、4カ月後の抗RBD抗体価が100U/mL以上だった割合は、プラセボ群の17.5%(10/57例)に対し、ワクチン群では55.0%(33/60例)と有意な免疫原性が示された〔相対リスク(RR)3.15、95%CI 1.7~5.8、P<0.001〕。中和抗体保有率(閾値30%以上)はそれぞれ24.6%、60.0%だった(RR 2.4、同1.5~4.0)。SARS-CoV-2特異的CD4陽性T細胞数は、プラセボ群に比べワクチン群で多かった〔CD4陽性T細胞106当たり67 vs. 432(いずれも中央値)、群間差の95%CI 46~986〕。

 安全性の評価では、3回目のワクチン接種後に生じた副反応は局所的な痛み、紅斑、腫脹、倦怠感、寒気、頭痛、関節痛などで、プラセボ群に比べワクチン群でわずかに多かったが、いずれも軽度だった。また、急性拒絶反応の発生はなかった。

 Hall氏らは、研究の限界について「研究期間が短く、臨床的な転帰を検討するには至らなかった。また、抗RBD抗体価のカットオフ値は任意に設定したものであり、感染を完全に否定しうるものではない」と言及。その上で、「モデルナ製mRNAワクチンを2回接種した移植レシピエントに3回目を追加接種することで、高い免疫原性と安全性が示された。リスク・ベネフィットバランスを考慮しても、ワクチンを2回接種したレシピエントには追加接種の有用性は高く、検討すべきである」と結論している。

(比企野綾子)