新型コロナウイルスの感染急増を受けた緊急事態宣言の13都府県への対象地域拡大と来月12日までの期限延長により、個人消費が1兆~3兆円規模で押し下げられる可能性のあることが17日、民間試算で分かった。力強さを欠く実質GDP(国内総生産)の伸びに一段とブレーキがかかり、政府が目指すコロナ禍前の水準への年内回復は難しくなりそうだ。
 第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは、宣言の対象拡大と期限延長による影響額を試算。個人消費の減少額は宣言拡大・延長前の約8800億円から約1兆4000億円に、GDP全体の減少額は約7500億円から約1兆2000億円に膨らむと指摘した。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、個人消費の減少だけで3兆4200億円の経済損失を見込んだ。
 16日に発表された4~6月期の実質GDPは、年率換算で前期比1.3%の低成長。個人消費は0.8%増にとどまり、宣言の拡大・延長による下押し圧力で景気の停滞感はさらに強まりかねない状況だ。
 さらに、インド由来のデルタ株流行による感染者急増で医療体制が逼迫(ひっぱく)し、政府が頼みの綱とするワクチン接種が進んだ後も経済活動が長期に抑制される恐れが出てきた。
 永浜氏は「ワクチン普及で重症者数が抑えられたとしても、医療提供体制を拡充しない限り日本経済の回復はあり得ない」と警鐘を鳴らす。木内氏も「ワクチン接種の『一本足打法』では経済回復は難しい。医療体制の確保を含め感染対策も同時並行で講じないと、いくら景気対策をしても意味がない」と話した。
 実質GDPがコロナ前の水準を回復する時期について、永浜氏は「2022年度以降」、木内氏は「23年4~6月期」とみており、政府が目指す年内は難しいとの見方が広がっている。 (C)時事通信社