恋人や結婚相手を探すマッチングアプリで恋心を抱かせ、現金などをだまし取る「ロマンス詐欺」の被害が急増している。新型コロナウイルス禍で外出の機会が減り、アプリでパートナーを探す人が増える中、専門家は「相手を信じたい気持ちにとらわれると被害から抜け出せなくなる」と注意を呼び掛けている。
 国民生活センターによると、インターネット上の出会いに絡む投資トラブルの相談は2019年度に5件、昨年度は84件だったが、今年度は7月末までで既に84件に上った。
 東北地方に住む30代の女性会社員は6月、アプリを通じ、カナダ出身で東京在住という男と知り合った。プロフィルの顔写真に魅力を感じ、インターネット交流サイト(SNS)で親密なやりとりを重ねるうちに恋に落ちたという。
 しばらくして男は投資話を持ち掛けてきた。女性は、指示されるまま海外の交換所で暗号資産(仮想通貨)を購入。わずか数分で60ドル(約6600円)相当の利益が出たといい、「すっかり男を信用してしまった」という。
 「チャンスを一緒につかみたい」という男の言葉を信じた女性は、指定された口座に家族や消費者金融から調達した計600万円を送金。「出金には保証金が必要」などと交換所から請求され、さらに計550万円を送金した後、だまされたことに気づいたという。
 男とはメッセージの交換のみで、直接会ったことも声を聞いたこともない。調べると、プロフィルの写真は海外著名人のもので、交換所も存在していなかった。女性は「疑っていたが証拠がつかめず、好きな人が言うから間違いないと思った」と悔やんだ。
 ロマンス詐欺に関する相談を受け付ける作家でカウンセラーの新川てるえさんは「コロナ禍で孤独を感じ、出会いを探し始めた人に被害が多い」と指摘。「『二人の秘密』と言い含め、やりとりを公にさせない手口もある。おかしいと思ったら周囲に相談したり、プロフィルを画像検索したりすることが大切だ」と注意を呼び掛けている。 (C)時事通信社