新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染急拡大に伴い自宅療養者が急増する中、家庭内感染のリスクはこれまで以上に高まっている。カナダ・Public Health OntarioのLauren A. Paul氏らは、SARS-CoV-2に感染した18歳未満の児がいる世帯を対象にコホート研究を実施。その結果、年少の感染児ほど家庭内でSARS-CoV-2感染を広げるリスクが高く、0~3歳の感染児における家庭内感染伝播リスクは14~17歳の1.43倍で最も高かったと、JAMA Pediatr2021年8月16日オンライン版)に発表した。

対象はSARS-CoV-2感染児がいる6,280世帯

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの初期には、SARS-CoV-2に感染した小児の数が少なかったことから、小児の家庭内感染に関する研究は十分に行われていない。そこでPaul氏らは、感染児の年齢によってSARS-CoV-2の家庭内感染伝播リスクに違いがあるかを検討する目的でコホート研究を実施した。

 対象は、同国オンタリオ州の医療機関でSARS-CoV-2への感染が確認された18歳未満の児(一次感染児)がいる6,280世帯。一次感染児の平均年齢は10.7±5.1歳で、2,863例(45.6%)が女児だった。データが不十分、複数の感染者がいる、一次感染児の年齢が不明などの世帯は除外した。一次感染児の年齢で4群(①0~3歳②4~8歳③9~13歳④14~17歳)に分類して検討を行った。

 家庭内感染は、一次感染児の感染から14日以内に発生した二次感染と定義した。

27.3%に家庭内感染が発生

 解析の結果、27.3%(1,717世帯)で家庭内感染が起こった。14~17歳群と比較したSARS-CoV-2の家庭内感染伝播リスクは、4~8歳群、9~13歳群のいずれも高く〔4~8歳群:オッズ比(OR)1.40、95%CI 1.18~1.67、9~13歳群:同1.13、0.97~1.32〕、0~3歳群で最も高かった(同1.43、1.17~1.75)。この関連は、二次感染を一次感染から2~14日後、4~14日後とした感度分析でも維持された。また、症状の有無、学校/幼稚園・保育園での感染爆発、学校/幼稚園・保育園の再開についての層別解析でも同様の結果だった。

 以上から、Paul氏らは「家庭内感染伝播リスクが最も高かったのは0~3歳児であり、より年齢層の低い児は年齢層の高い児と比較してSARS-CoV-2の感染を伝播する可能性が高いことが示唆された」と結論。「児の年齢層による感染力の違いを踏まえて対策を講じれば、家庭内での二次感染リスクを最小限に抑えることができる。感染児を隔離することは不可能であり、看護する家族はマスクの着用、小まめな手洗い、兄弟姉妹からの分離などが必要だ」と付言している。

(比企野綾子)