新型コロナウイルスの収束が見えない中、障害者向けの感染対策グッズが相次ぎ開発されている。「誰もが当たり前に対策できる環境を」。アイデアと技術を詰め込んだ商品に、利用者から歓迎の声が上がる。
 京都府向日市の金属加工会社西田製作所は7月、クラウドファンディングで集めた80万円で、重度の障害者や車いす利用者ら向けの消毒液スタンドを開発した。
 重い障害を抱える人などは、消毒液のポンプを押す際に重過ぎると感じることがある。車いす利用者にとって、一般的なスタンドはポンプの位置が高過ぎ、踏んで噴射させるペダルも使えない。
 これらの問題を解消するため、試行錯誤を重ねた。消毒液の置き場を高さ1メートルまで下げ、手の甲で押すリング状のレバーを付けるなどし、わずかな力でもポンプを押せるようにした。障害者就労施設などで使われ、同社によると、107歳の女性らから「私でも十分な量を出せる」との声が寄せられているという。
 開発・販売担当の新井慎太郎さん(24)は「健常者も障害者も当たり前に感染防止できる環境を京都から世界へと広げたい」と意気込む。
 国内最大の手袋の産地、香川県東かがわ市では、会社役員吉岡忠助さん(45)らが市内のメーカーと連携して開発した視覚障害者向けの手袋が注目を集めている。着用感が素手に近いと利用者に喜ばれている。
 わずかな形状の変化も把握できるように、手のひらや指の部分に、特殊なナイロンを目に見えないほど細かくメッシュ状に織り込んだ。生地が伸びない加工により、点字も引っ掛からず読める。
 視覚障害者の友人から「われわれには手が目の代わり。コロナ禍で、いろんなものに触らないといけない」と聞かされ、商品化を思い付いた。
 1月に発売すると、特別支援学校などから注文が舞い込んだ。「触るたびに消毒する必要がなくなった」「点字を読む際のストレスがない」などとうれしい感想が届いているという。 (C)時事通信社