肺炎入院患者に対して、一時的に食事の経口摂取を中止し経管栄養や点滴による栄養管理を行った場合、口や喉を使わないために口腔機能が低下しやすくなるという課題がある。東京医科歯科大学大学院摂食嚥下リハビリテーション学分野の吉見佳那子氏らの研究グループは、高齢の急性期肺炎入院患者を対象に、歯科専門職による歯科口腔管理の影響を検討。経口摂取の確立および入院日数短縮に有効だと、J Nutr Health Aging2021年7月26日オンライン版)に報告した。

歯科新設施設に入院した肺炎患者50例を調査

 肺炎患者の全身状態が改善し経口摂取を再開する際には、安全のために嚥下機能や口腔状態の評価、摂食嚥下リハビリテーション、適切な口腔ケアおよび歯科治療が必要とされる。しかしこれまで、急性期病院に入院した肺炎患者については、歯科専門職による歯科治療や口腔ケアの有効性および、医科歯科連携の有効性に関する検討が不十分だった。

 そこで研究グループは、歯科が新設されたある大学病院に入院した、65歳以上の急性期肺炎患者50例を対象とした研究を実施。Level.1(経口摂取なし)~Level.7(正常)の7段階で評価する経口摂取状況(FOIS)、リハビリテーション科および歯科による介入までの日数と介入回数、入院日数などを調査した。対象は、嚥下障害疑いのためにリハビリテーション科に摂食嚥下リハビリテーションが依頼され、歯科口腔管理が必要な患者はリハビリテーション科から歯科に紹介して、歯科医師および歯科衛生士による歯科治療や、口腔状態を考慮した食事形態(ペースト食など)の提案が行われていた。

 なお、食事形態にかかわらず経管栄養を併用せずに3食経口摂取できている場合(FOISスコアでLevel.4以上)を経口摂取確立とした。

歯科口腔管理がリハビリの効果高める

 データ解析に当たっては、歯科口腔管理実施群に対し、歯科開設前に入院し歯科管理を行っていない患者179例を対照群とした。各群の対象者を入院順に並べ、口腔管理状態を評価する指標であるOHATスコアが同じ者を1対1でマッチングさせ、歯科口腔管理実施群と対照群をそれぞれ50例とした。

 解析の結果、患者の肺炎重症度や併存疾患にかかわらず、歯科専門職の介入が退院時における経口摂取の確立(オッズ比3.0、P=0.014)の他、FOISスコアの改善(P=0.002)および入院期間の短縮(P=0.039)に関与していた(多変量ロジスティック回帰分析)。

 今回の知見より、歯科専門職が肺炎による入院後早期に介入することでリハビリテーション効果が高まって経口摂取が確立でき、さらに経口摂取確立が入院日数の短縮につながったと考えられるという。

 研究グループは、「経口摂取の確立および入院日数の短縮は、患者だけでなく医療者側の負担を軽減する」としている。

(須藤陽子)