直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)を服用中の心房細動(AF)患者約10万例を対象としたデンマークのコホート内症例対照研究の結果、グルココルチコイド(GC)を併用すると消化管出血リスクが上昇することが分かった。また、同リスクにはGCの用量依存性が認められた。詳細はデンマーク・Copenhagen University HospitalのAnders Holt氏らがHeart2021年8月13日オンライン版)に報告した。

併用時の出血リスクの研究は不十分

 DOACと経口GCは、それぞれ消化管出血リスクとの関連が報告されているが、両薬の併用におけるリスクについての研究は十分でない。Holt氏らは、デンマークの全国登録から2012~18年にAFに対して新規にDOACを処方された患者を抽出。GC併用と非併用の患者で、年齢、性、暦年、追跡期間、DOACの種類をマッチングさせ、経口GCを使用した場合の消化管出血のハザード比(HR)、両群の処方後60日絶対リスク、60日相対リスクを算出した。経口GC使用は、消化管出血前60日以内の処方と定義した。

 9万8,376例を解析に組み入れた。年齢中央値は75歳〔四分位範囲(IQR)68~82歳〕、女性比率44%、DOACの種類は、リバーロキサバン36%、アピキサバン35%、ダビガトラン27%、エドキサバン2%だった。

HRは20mg未満で1.54、20mg以上で2.19

 組み入れから3年以内に経口GCを処方された患者は全体の16%で、DOAC服用患者で経口GCが頻用されていることが分かった。経口GCの主要な処方対象は、肺疾患とリウマチ性疾患だった。

 消化管出血リスクはGC非併用群に比べ併用群で増大した。GC併用群のHRは、20mg/日未満の併用で1.54(95%CI 1.29~1.84)、20mg/日以上の併用で2.19(95%CI 1.81~2.65)となり、用量依存性に消化管出血リスクが増大した。

 出血リスクスコアでHAS-BLEDスコア3未満および3以上で層別化したところ、3以上の集団では経口GCに用量依存性は認められなかった()。

図. GC併用の有無別に見た消化管出血リスク

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Heart 2021年8月13日オンライン版

 GC初回処方後60日における消化管出血の標準化絶対リスクは0.71%(95%CI 0.58~0.85%)だった。一方、GC非併用群における同リスクは0.38%(95%CI 0.32~0.43%)だった。

 GC併用群では消化管出血の相対リスクも上昇し、GC初回処方後60日における併用群の非併用群に対する相対リスクは1.89(95%CI 1.43~2.36)だった。

 Holt氏らは「DOACと経口GCの併用で、DOAC単独と比べ短期の消化管出血のHRと絶対リスクは2倍になった」と指摘。「これらの関連は、公衆衛生上の懸念を引き起こしうるもので、DOAC服用時の薬剤安全性が考慮されるべきだが、現時点で4種のDOACのいずれにおいても製品情報で経口GCに言及していない。今回の知見を受け、DOAC服用中の患者への経口GC処方時には注意深いモニタリングを推奨するのが適切であろう」と述べている。

(小路浩史)