日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会は本日(8月23日)、自宅/宿泊療養施設で療養中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した妊婦における受診・救急要請の目安をまとめ、公式サイトで発表した。受診が必要な産科的症状および呼吸器症状を挙げ、かかりつけの産婦人科や保健所に連絡があった場合は早めの入院療養を検討するよう医療従事者に求めている。

妊婦に健康観察項目を周知

 妊娠後期(8カ月以降、妊娠28週以降)にCOVID-19に罹患した場合、特に重症化しやすいととされている。そのため、自宅/宿泊療養施設で療養中のCOVID-19罹患妊婦に体調の変化や産科的異常が発生し、入院療養が必要と判断された場合は、早急に医療機関を受診できるような対応が必要だ。日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会は、健康観察項目として妊婦に①呼吸状態、心拍数、呼吸数②体温③パルスオキシメーター(サチュレーションモニター)があれば酸素飽和度(SpO2)―の測定を周知している。

 その上で、次のいずれかが認められた場合は、かかりつけの産婦人科または保健所に連絡するよう求めている。

  1. 1時間に2回以上の息苦しさを感じる
  2. トイレに行くときなど息苦しさを感じる
  3. 心拍数が1分間に110回以上、または呼吸数が1分間に20回以上
  4. 安静にしていても1時間以内にSpO2が93~94%から回復しない

 なお医療従事者に対しては、このようなケースの妊婦では自施設または各地域に整備された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染妊婦の搬送システム(周産期医療リエゾン、保健所、救急隊など)を活用し、早目に入院療養を検討するよう求めている。

 さらに救急車の要請が直ちに必要なケースとして、①息苦しくなり、短い文章の発声も不可能②SpO2が92%以下―を挙げた。

妊婦の搬送先が見つからない事例が発生

 SARS-CoV-2陽性妊婦が出産した後、直ちに隔離すれば新生児が濃厚接触者になることはない。しかし日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会および日本新生児成育医学会は今年(2121年)8月10日、SARS-CoV-2陽性妊婦から出生した新生児の受け入れ可能な新生児科がなく、妊婦の搬送先が見つからない事例が発生していると指摘していた(関連記事「コロナ陽性妊婦の自宅療養"差し支えない"」)。

 残念ながら8月17日には、千葉県柏市の自宅で療養中の妊婦について入院調整を行うも受け入れ先が見つからず、自宅で早産し新生児が亡くなる事例が生じた。

 今回の告知は、自宅療養中の妊婦と医療従事者双方で速やかな受診を要する目安を共有するもの。英国保健サービス(NHS)の「COVID-19感染症を患った患者の方々が自宅で経過観察する場合」および、英国産科婦人科学会の「妊娠中のSARS-CoV-2感染」などを参考にまとめられた。

(田上玲子)