新型コロナウイルスが猛威を振るう中、東京パラリンピックが24日夜、幕を開ける。難病や事故に遭ってもスポーツに希望の光を見いだしたアスリートたち。コロナの感染リスクや大会中止への不安と向き合いながら、この日に備えてきた。
 ボッチャ代表の江崎駿選手(20)は筋ジストロフィーで車いす生活を余儀なくされた際、「スポーツ自体が遠い存在」だった。競技と巡り会い、戦略性の高さ、奥深さに夢中になった。コロナ禍では愛知県春日井市の自宅からほぼ出ない生活を送ったが、「金メダルを取る。その一点」と技の精度を磨いた。
 呼吸器系疾患を抱える人が多いボッチャ選手は、感染による重症化リスクが高く、合宿は一時中止となった。再開後も公共交通機関の利用は禁止に。江崎選手の父泰秀さん(54)は大会が無事開催されるよう祈りながら、東京のナショナルトレーニングセンターへも車で送り迎えしてきた。
 自閉症の山口尚秀選手(20)は競泳100メートル平泳ぎなどに出場する。大会延期が決まるとプールから足が遠のき、「しんどい」と一時殻に閉じこもった。母由美さん(52)は「自閉症の子は見通しが立たないのが一番つらい。よくやめずに頑張った」と話す。
 陸上男子400メートルなどに出場する三重県鈴鹿市の伊藤智也選手(58)は多発性硬化症を抱え、「コロナに感染すると再発のリスクが高い」と警戒してきた。感染対策を徹底し、「誰もいない競技場に妻と2人で行く以外は家から出ない方法を取ってきた」という。
 コロナ禍で「手放しに喜べる大会ではない」と思っている。それでも「『走る』舞台を用意していただいた以上、安全対策を信じて大会を迎えたい」と意気込む。 (C)時事通信社