【シドニー時事】オーストラリアの最大都市シドニーで、新型コロナウイルス感染防止のロックダウン(都市封鎖)が導入されて26日で2カ月を迎える。感染力が強いデルタ株の猛威を前に、封鎖は感染対策の決定打とはなっていない。豪政府はワクチン接種を進めてウイルスとの共存を図り、コロナ禍からの正常化を目指す「出口戦略」にかじを切った。
 シドニーを州都とするニューサウスウェールズ州では25日の市中感染者が919人と、過去最多を記録。前週末には長期化する外出規制などに反対するデモがシドニーとメルボルンで行われ、250人以上が逮捕された。混迷する状況を受け、モリソン首相は22日に声明を出し「感染者数は重要だが、すべては語れない」と指摘。「感染者ゼロ」を主眼とした従来の戦略からの転換を鮮明にした。
 感染対策の「優等生」とされた隣国のニュージーランドもデルタ株には苦戦。感染者は25日まで1週間余りの累計で200人を突破し、17日に導入した封鎖も延長された。
 豪クイーンズランド大のアマリー・ダイダ博士は、封鎖によって感染が抑えられない現状について、デルタ株以前の感染者は高齢者が中心だったが「(仕事などで移動する)若い人々の間で広がっている」と説明した。
 豪政府は正常化に向けた計画を策定済み。接種率が70%を超えれば封鎖をなるべく回避し、出入国管理も緩和する。国内では封鎖の長期化が心の健康に与える悪影響を懸念する声も上がっている。
 出口戦略を進める上で、不足していたワクチンの調達が軌道に乗り、接種ペースが加速したことも追い風だ。主力企業のカンタス航空は従業員へのワクチン接種の義務化を決め、政府の取り組みを後押しする。年内に接種率は70%を超える見通しで、モリソン氏は「クリスマスにはみんなで食卓を囲めるようになる」とアピールした。 (C)時事通信社