新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、ドラッグストアなどで売られている「酸素缶」の買い占めや高額転売が横行している。自宅療養中に呼吸困難に陥る不安が背景にあるとみられるが、本来は登山などの際に使うレジャー用品。医師は「一時的に苦しさが取れるかもしれないが、根本的治療にはならない」と話し、効果を過信しないよう呼び掛けている。
 「コロナに備えて」「持病などで不安のある時に」―。フリーマーケットアプリ「メルカリ」には、こんな紹介文と共にさまざまなメーカーの酸素缶が数千円から数万円で多数出品されている。50本セットが約8万5000円で売買された形跡もあったが、これは店頭価格の2倍以上の値段。メーカーの担当者は「今月に入り酸素缶の問い合わせが急増している。医療用の商品ではないので、買い占めや転売はやめてほしい」と戸惑う。
 首都圏のあるドラッグストアでは今月19日以降、「コロナに感染したときに使えるとテレビで言っていた」などと話し、酸素缶を買い求める客が急増した。販売担当者は「高額転売されていると気付き、一度に買える数を制限したが、それでも2日間で月間販売数のおよそ15倍の数が売れた」と振り返る。
 電力で高濃度酸素を作る酸素濃縮器と違い、5リットルほどの酸素缶は2分前後の噴射で空になる。新型コロナの自宅療養に詳しい鳥居内科クリニック(東京都世田谷区)の鳥居明院長は「救急隊到着まで酸素缶で耐えたとしても、すぐ入院先は決まらないのが現状。根本的な解決にはならない」と語り、改めて感染防止対策を徹底するよう呼び掛けた。 (C)時事通信社