アルブミン懸濁型パクリタキセル(nab-パクリタキセル、商品名アブラキサン)の出荷調整を受け(関連記事「nab-パクリタキセル、10月以降の供給に支障」)、パクリタキセル(商品名ホスピーラ)についても出荷調整を実施するなど(関連記事「抗がん薬パクリタキセルが出荷調整」)、その影響が広がっている。日本臨床腫瘍学会、日本癌治療学会、日本膵臓学会、日本胃癌学会、日本乳癌学会、日本肺癌学会は8月26日、nab-パクリタキセル供給停止に関する声明文を合同で発表した。

患者の状態やがん種により治療継続か代替治療への切り替えを推奨

 声明は、代替治療への切り替えが困難な患者における治療継続に向けての医療関係者の協力を要請するもの。現在、nab-パクリタキセルによる治療を施行中の患者については、①nab-パクリタキセルによる治療に効果がある患者については継続を最優先する②胃がん、乳がん、肺がん患者については、nab-パクリタキセルをパクリタキセルに切り替えるなど代替治療を積極的に検討する―としている。

 新規に治療を開始する患者については、①代替治療への切り替えが困難な膵がん患者やアルコール不耐でパクリタキセルへの切り替えが困難な患者の治療を優先②胃がん・乳がん・肺がん患者ついてはnab-パクリタキセルをパクリタキセルに切り替える(胃がん、肺がん)または他の治療法に切り替える(乳がん)など、代替治療を積極的に検討する③nab-パクリタキセルはもとより、パクリタキセルなどの代替薬の必要以上の購入は控える―としている。

 なお、供給の早期再開、代替治療の円滑な実施に向けて、厚生労働省などへの要望書の提出を別途予定しているという。

 また、日本胃癌学会は患者に向けて見解を発表。胃癌治療ガイドライン第5版において、古くから使用されてきたパクリタキセルは「推奨」、新たに承認されたnab-パクリタキセルは「条件付きで推奨」としているが、両者の効果はほぼ同等。今回のような非常事態ではnab-パクリタキセルをパクリタキセルに切り替えるのが最善の策であり、切り替えたために効果が落ちる可能性は低いとし、その上で今後の治療について主治医と相談するよう勧めている。

(安部重範)