緊急事態宣言の期限まで2週間を切る中、全国的に新型コロナウイルスで新規感染者数の高止まりが続いている。感染状況などを示し、宣言の発令や解除の目安となる指標の見直しも進まず、政府内では来月12日での解除を困難視する声も上がる。政府は病床数の上積みなどによって、以前より高い感染者数の水準でも解除を模索する方針だ。
 「(新規)感染者数が減っていくのか。お盆後に活動が活発になった分、また増えるのか。病床がしっかり確保できるか。この見極めが非常に大事だ」。西村康稔経済再生担当相は30日のTBS番組で、宣言解除の判断に当たり、感染者の減少傾向と医療提供体制の状況を注視する考えを示した。
 新型コロナ「第5波」が深刻化した東京では、先週から新規感染者数が減少傾向に転じ、隣接する埼玉、千葉、神奈川各県も頭打ちになりつつあるが、なお高水準だ。21都道府県に広がった宣言地域も感染者数は高止まりし、夏休み明けは学校を通じた感染拡大防止が新たな課題となる。田村憲久厚生労働相は29日のNHK番組で、東京などの解除は「現状を見るとかなり難しい」と踏み込んだ。
 各地のPCR検査の陽性率は2~3割台の高い水準が目立ち、専門家は「さらに、捉え切れない感染者が多数いる可能性がある」と懸念。このため、ワクチン接種の進展に伴い政府が模索する指標の数値基準の緩和に対して、政府分科会の尾身茂会長は「誤ったメッセージになりかねない」として、今回の期限に合わせた見直しには否定的だ。
 ただ、政府は指標自体を見直さない場合も、今回の解除判断に当たり、医療提供体制の確保状況を重視したい意向。厚労省は東京都と共同で都内の全医療機関に病床確保を要請したほか、臨時医療施設の整備、重症化を防ぐ「抗体カクテル療法」普及にも力を入れている。
 政府関係者は「感染者数を今よりさらに抑えなければいけないのは当然だ」と強調。一方で、新規感染者数が指標上、最も深刻な「ステージ4(感染爆発)」であっても、医療提供体制などの状況を踏まえ、「解除の是非を総合的に判断する」と指摘した。 (C)時事通信社