手術や薬物療法とともにがんの三大治療法とされる放射線療法。その副作用として発生する放射線肺臓炎(radiation pneumonitis;RP)は重症化すると死に至ることもある。またRPの発症により免疫療法の中断・中止を余儀なくされるため、リスク予測は極めて重要なテーマだ。広島大学大学院放射線腫瘍学の河原大輔氏らは、人工知能(AI)技術を活用して治療前のCT画像と放射線治療で肺に当たる放射線分布を解析、Grade 2以上のRPリスクの予測に取り組んだ。その結果をSci Rep2021; 11: 16232)に発表した。

画像情報や治療線量範囲がRPリスクに寄与

 河原氏らは2008~18年に局所進行性非小細胞肺がん(NSCLC)の放射線療法を行った77例の医用画像から、目に見える形状や色合いの情報とともに、画像の質感など定量評価が難しい画像情報や目に見えない画像情報をradiomicsにより統合解析。放射線治療前のCT画像と放射線治療中の線量分布から、計3万2,541個の画像特徴量を抽出した。

 画像特徴量は解析範囲ごとに異なるため、①腫瘍②全肺③全肺から腫瘍範囲を除いた正常肺④線量範囲―など70種以上の領域を作成。領域ごとにradiomicsを行う多領域radiomicsの手法を活用した。

 次に、LASSO回帰モデルを用い、肺全体のradiomicsでは4個、多領域radiomicsでは13個の画像特徴量を分類のために選択した。分類した数千種の画像特徴量について、ニューラルネットワークを用いて治療後のRPとの関連を学習させ、RP予測モデルを構築。過去の研究における予測精度は60.9%であったのに対し、今回の研究では80.1%まで向上させることに成功した。

 予測モデルの解析により、RPの発症に寄与する因子が①肺領域の画像のざらつきや粗さといった画像情報②治療予定の線量範囲―であることを明らかにした。

 河原氏らは「今回、予測精度が大きく向上したことで、Grade 2以上のRPリスクを有する患者では治療強度の調整や治療後のマネジメントで肺臓炎が予防できる可能性がある。さらに、RPの発症に寄与する因子を明らかにしたことで放射線療法の手法を検討し、RPリスクが高い領域に照射への回避によりRPリスク低減が期待される」と展望している。

(渡邊由貴)