新型コロナウイルス感染症(COVID-19)については回復後もさまざまな後遺症が報告されているが、1年後の転帰はどうなっているのか。中国・Capital Medical UniversityのLixue Huang氏らは、COVID-19で同国・武漢市内の医療施設に入院し、その後退院した成人1,200例超を対象に、発症12カ月後の転帰を検討。その結果、大半の後遺症は12カ月後には消失していたが、約半数がなんらかの後遺症を訴え、3割に息切れが残っていたとLancet2021; 398: 747-758)に発表した。

vs. 6カ月後、vs. 非罹患者で検討

 COVID-19入院患者の退院後の長期的な転帰はほとんど知られていない。そこでHuang氏らは、2020年1月7日~5月29日に武漢市内の病院を退院したCOVID-19患者を対象にコホート研究を実施し、発症12カ月後の転帰を検討した。

 COVID-19の発症6カ月後、12カ月後に問診で症状および健康関連QOL(HRQoL)を評価。身体検査、6分間の歩行試験、臨床検査も実施した。12カ月後には、退院後の医療機関への受診状況と就労状況も聴取した。

 解析対象は、6カ月後および12カ月後の各検査を完了したCOVID-19退院患者1,276例。年齢中央値は59.0歳(四分位範囲49.0~67.0歳)、男性が681人(53%)だった。

 主要評価項目は、症状、修正MRC息切れスケール(mMRC)のスコア、HRQoL、6分間歩行試験の歩行距離とした。副次評価項目は、肺機能、胸部高解像度CT画像、退院後の外来通院および入院状況、就労状況とした。

 また、対象と年齢、性、併存疾患をマッチングした非罹患者(対照)1,164例と、症状およびHRQoLを比較した。

4分の1で不安または気分の落ち込み

 解析の結果、少なくとも1つの後遺症を有する退院患者の割合は、6カ月後の67.7%(831/1,227例)から12カ月後には48.7%(620/1,272例)と有意に減少した(P<0.0001)。息切れがある者(mMRCスコア≧1)の割合は、6カ月後の26.4%(313/1,185例)から12カ月後には30.0%(380/1,271例)とわずかに増加した(P=0.014)。さらに、不安または気分の落ち込みを感じている者の割合は、6カ月後の23.1%(274/1,187例)から12カ月後には26.0%(331/1,271例)と有意に増えていた(P=0.015)。

 6分間歩行試験の歩行距離は、6カ月後と12カ月後で有意差は認められなかった。COVID-19罹患前に就労していた者の88.1%(422/479例)が、12カ月後には職場に復帰していた。

 また、退院患者群では非罹患の対照群と比べて、なんらかの症状を有する人の割合が有意に多く、12カ月後のHRQoLスコアは有意に低かった(いずれもP<0.0001)。

12カ月後の倦怠感、筋力低下リスクは男性より女性で43%高い

 多変量ロジスティック回帰分析を行ったところ、12カ月後に倦怠感または筋力低下を呈するリスクは、男性に比べ女性で有意に高かった〔オッズ比(OR)1.43、95%CI 1.04~1.96、P=0.027〕。不安または気分の落ち込み、肺拡散障害のリスクも同様に、男性に比べ女性で有意に高かった(不安または気分の落ち込み:OR 2.00、同1.48~2.69、P<0.0001、肺拡散障害:OR 2.97、同1.50~5.88、P=0.0018)。

 以上から、Huang氏らは「後遺症の大半は1年後には消失し、退院患者は罹患前の生活や仕事に戻っていた。しかし、非罹患者と比べると1年後の健康状態は不良である」と結論。「COVID-19の長期的な健康への影響を把握するには、追跡調査を長期的に継続する必要がある」と付言している。

(比企野綾子)