厚生労働大臣の田村憲久氏は、昨日(8月31日)の記者会見で、一時取りやめていたヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの積極的接種勧奨について「なるべく早く方向性を示したい」と述べ、審議会での議論を再開する方針を明らかにした。その一方で、再開の時期を明示しなかったことから、MSDは本日「事実上の先送り。積極的な接種勧奨の1日も早い再開を強く求める」との声明を発表した。(関連記事「9価HPVワクチン、効果と適正接種を考察」

エビデンスの蓄積は十分

 HPVワクチンは子宮頸がんなどの予防に有効であるが、日本では2013年6月に政府が積極的な接種勧奨を差し控えて以降、接種率が大幅に低下している。昨日の記者会見での田村氏の発言について、MSDは「厚労大臣が8年以上の歳月を経てようやく積極的な接種勧奨再開に向けた見通しを表明したことは、一歩前進したものと受け止めている」としながら、「検討の期限を明示しないまま再開の事実上の先送りとも取れる状況になったことを遺憾に思う。大臣が会見で言及した審議会における一刻も早い審議の再開を強く願う」と訴えた。

 HPVワクチンの有効性および安全性を再確認する国内外のエビデンスは既に十分蓄積されており、同社は厚労省と緊密に協力し、今年(2021年)10月の積極的な接種勧奨の再開に向けてあらゆる準備を進めてきたという。

 さらに、同社は今回の声明で「引き続き、子宮頸がんを始めとするHPV関連疾患から日本人を守るために、HPVワクチンの積極的な接種勧奨の1日も早い再開を強く求める姿勢を貫いていく」との決意を表明。厚労省に対しても「積極的な勧奨がなされなかったために過去8年にわたって定期接種の機会を逃した人に対する施策についても、具体的な計画を速やかに示していただきたい」との強い要望を示した。

(慶野 永)