政府は「デジタル時代のパスポート」(平井卓也デジタル相)と位置付けるマイナンバーカードの普及を急ぐ。新型コロナウイルスの感染拡大で、対面が主流だった行政手続きは変化を迫られている。菅義偉首相は「あらゆる手続きが役所に行かなくてもオンラインでできる仕組みをつくる」と強調。その際の基盤となるのが、2016年から交付が始まったマイナンバーカードの取得促進だ。
 カードに埋め込まれたICチップには電子証明書が搭載され、オンラインで本人確認ができる。現在、介護や子育て関連の手続きを中心にオンライン申請の導入が進められているほか、10月からは健康保険証として使える制度が本格的に始まる。
 ただ、普及は順調に進んでいるとは言い難い。政府は22年度末にほぼ全ての国民が取得することを目指すが、今年8月末時点の交付率は4割に満たない。外出自粛要請を受け、役所の交付窓口に行くことをためらう人がいるなど、コロナ禍の影響も先行きを不透明にしている。
 政府は利用機会を増やして利便性を高めることで、挽回に躍起だ。普及目標の22年度中には、スマートフォンへのカード機能搭載や、引っ越しの際の転出届のオンライン申請などを可能にする。24年度末までに運転免許証との一体化も目指す。
 今後、マイナンバー関連の施策は、デジタル庁が司令塔となって進めることになる。市区町村のカードの交付体制整備を支援する総務省幹部は「政府全体で利用機会を増やしていくことで利点を感じてもらい、普及目標の達成に向けて努力したい」と話す。 (C)時事通信社