グラス1杯のワインでも心房細動(AF)のリスクを即時的かつ著明に上昇させることが、米・University of California, San FranciscoのGregory M. Marcus氏らが客観的な測定デバイスを用いて行った研究で明らかになった。結果はAnn Intern Med2021年8月31日オンライン版)に発表された。同氏らは「修正可能な因子がAF発現リスクを上昇させることを示唆した初めての研究結果である」と述べている。

4時間後にリスク倍増

 これまでAFの研究は主に発症の危険因子と治療に関するものが多く、AFの発作がいつ、どこで起きるかなどについての検討は少なかった。今回、Marcus氏らは飲酒とAF出現リスクの関係について検討した。

 対象は、同大学循環器内科を受診する患者のうち月にグラス1杯以上の飲酒習慣がある100例(平均年齢64±15歳、男性79%、白人85%)。

 患者は連続心電図(ECG)モニターと足首装着型経皮的アルコールセンサーを装着し、飲酒時にアルコールを1杯摂取するたびにECG記録ボタンを押して摂取量をデバイスに記録させ、さらにAFの発現と持続時間およびアルコール摂取量を記録。また定期的な血液検査によりホスファチジルエタノールアミン(PE)を検出してアルコール摂取量を確認した。

 4週間の研究期間中における1日当たりのアルコール摂取量は中央値1杯だった。56例がAFを少なくとも1回のAF発現を経験していた。PE検査の結果、患者のリアルタイム飲酒記録と経皮的アルコールセンサーの結果と一致していた。

 飲酒とAF発現リスクについて解析すると、アルコール1杯の摂取により4時間後のAFリスクは2.02倍上昇し〔オッズ(OR)2.02、95%CI 1.38~3.17〕、2杯以上の摂取で3.58倍上昇(同3.58、1.63~7.89)した。

 AF発現前12時間の経皮的アルコールセンサーの結果から、最大血中アルコール濃度が0.1%上昇するごとにAF発現リスクは1.38倍上昇(OR 1.38、95% CI 1.04 ~1.83)、アルコール曝露曲線下面積(AUC)が4.7%上昇するごとにAF発現リスクは1.14倍上昇(同1.14、1.06~1.22)することが分かった。

両者に正の相関関係

 以上の結果を踏まえ、Marcus氏は「アルコール摂取はその後数時間以内の即時的なAF発現リスクを上昇させた」と結論。さらに「大量飲酒がAFと関連しているという一般的な考えに反して、1杯の飲酒でもAFリスクを上昇させるには十分である可能性が示唆された。アルコール摂取量が増加するほどAF発現リスクが上昇し、両者には正の相関関係が示された。この結果は、何十年にもわたって患者から報告されてきたことと一致している。今回得られたデータからAFは偶然発現するものでも予測不能なものでもなく、患者自身がコントロールできる修正可能な因子が影響している可能性が示唆された」と述べている。

(大江 円)