慢性特発性蕁麻疹(CSU)に対する薬剤介入の効果を検討したランダム化比較試験(RCT)のメタ解析の結果、最も顕著な症状改善を示したのは抗IgE抗体製剤のligelizumabだった。また、オマリズマブでも中程度の改善が得られ、ヒスタミンH1受容体拮抗薬(以下、H1拮抗薬)で効果不十分なCSUに対する抗IgE抗体製剤のベネフィットがあらためて確認された。タイ・Chiang Mai UniversityのSurapon Nochaiwong氏らがJAMA Darmatol2021年8月25日オンライン版)に報告した。

23件のRCT、2,480例のデータ解析

 CSUは、痒みや痛みを伴う原因不明の膨疹や血管性浮腫が6週間以上持続することを特徴とする。重症度が高く症状の発現が予測不能であるため患者のQOLを低下させ、社会経済状態にも悪影響を及ぼす。

 Nochaiwong氏らは、H1拮抗薬で効果不十分なCSUに対するさまざまな既存治療のリスクとベネフィットを検討するために、MEDLINE、Embase、PubMedなどの電子データベース、Google Scholarの灰色文献、進行中の試験登録などから、青年・成人CSU患者を対象とした薬剤介入RCTを検索。システマチックレビューとランダム効果ネットワークメタ解析を実施した。

 主要評価項目は、ベースラインからの蕁麻疹症状(瘙痒・膨疹)の変化および治療に対する不忍容性とし、副次評価項目は、ベースラインからの瘙痒重症度スコア・膨疹重症度スコアの変化、有害事象とした。

 23件のRCTから2,480例(平均年齢32.2~43.8歳)のデータを解析に組み入れた。RCTの内訳は、承認用量のH1拮抗薬で効果不十分な患者が対象のRCT 9件、承認用量のH1拮抗薬2~4倍で効果不十分な患者が対象のRCT 10件、複数の定義(患者)が混在したRCT 1件、定義不明瞭のRCT 3件だった。

 介入方法は18通りで、ligelizumabの3用量、オマリズマブの4用量の他、他の抗体医薬、シクロスポリンなどの免疫抑制薬、メトトレキサート、ロイコトリエン受容体拮抗薬、ヒドロキシクロロキンなどの抗寄生虫薬などが使用された。

ligelizumab 72/240mgでベネフィット最大

 蕁麻疹症状の変化における標準化平均差は、ligelizumab 72mg が−1.05(95%CI −1.37~−0.73)、同240mgが−1.07(95%CI −1.39~−0.75)であり、オマリズマブ300mgが−0.77 (95%CI −0.91~−0.63)、同600mgが−0.59 (95%CI −1.10~−0.08)だった。

 リスクとベネフィットを考慮したネットワーク推定の結果、ligelizumab 72mgまたは240mgが最も有益な治療法で、オマリズマブ300mgまたは600mgが中等度の有益性と判定された。

 一方、効果量とエビデンスの質を考慮した結果、dapsone(ジアフェニルスルホン)、ヒドロキシクロロキン、シクロスポリン、ligelizumab 24mg、オマリズマブ150mg、ザフィルルカストの有益性は小規模にとどまり、その他の介入方法は効果不十分または有害事象リスクが高いと判定された()。

図. CSUに対する薬剤介入効果の分類

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JAMA Darmatol 2021年8月25日オンライン版

 治療に対する不忍容性(全理由による試験脱落率)に関して、介入方法間で有意差は認められなかった。

 Nochaiwong氏らは「今回の知見は、H1拮抗薬で十分な効果が得られなかったCSU患者に対して、ligelizumab 72/240mgまたはオマリズマブ300/600mgを推奨できることを示した」と結論している。

 ligelizumabは、喘息患者においてオマリズマブをしのぐ効果を示せず、同領域での開発が中断されていたがJ Allergy Clin Immunol 2017; 139: 1411-1421、今年(2021年)1月に米食品医薬品局(FDA)からCSUに対する画期的治療薬の指定を受け、現在、H1拮抗薬でコントロール不十分なCSU患者を対象とした第Ⅲ相試験が進行中である。

(小路浩史)